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トップ  >  ◆学校において予防すべき伝染病  >  第一種の伝染病

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 第一種の伝染病


 第一種の伝染病は、感染症予防法の一類感染症と二類感染症となっている。旧第一類と比較すると、エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、マールブルグ病、ラッサ熱が加わり、赤痢(細歯性赤痢を除く。)、痘瘡、発疹チフス、猩紅熱、流行性脳脊髄膜炎及び日本脳炎は今回の改正で削除された。なお、痘瘡(天然痘)は地球上から根絶した。
 出席停止の期間の基準は、旧第一類は廃止前の伝染病予防法によって隔離等の必要な措置がとられるため規定されていなかったが、今回の改正で第一種は共通して「治癒するまで」と規定された。


 エボラ出血熱クリミア・コンゴ出血熱ペストマールブルグ病ラッサ熱急性灰白髄炎(ポリオ)コレラ細菌性赤痢ジフテリア腸チフス、パラチフス

エボラ出血熱

  • 感染症予防法で一類感染症に分類されている致死的なウイルス性出血熱で、中央アフリカ・西アフリカなどでまれに発生する。
  • 病原体:エボラウイルス
  • 感染経路:ウイルスを保有している宿主は不明である。人同士は、患者の血液・体液などの接触により感染する。
  • 潜伏期間:2〜21日
  • 症状・予後:発熱・全身倦怠感・頭痛・筋肉痛・関節痛などで急に発症、腹痛・嘔吐・下痢、結膜炎が続く。2〜3日で状態は急速に悪化し、出血傾向と発疹が出脱する。6〜9日で激しい出血とショック症状を呈し死に至ることが多い。致命率は50〜80%である。
  • 登校基準原則として患者は指定医療機関に入院するので、治癒するまで出席停止とする。(なお、流行地域からの帰国者の発熱に注意する。)


クリミア・コンゴ出血熱
  • 感染症予防法で一類感染症に分類されている重症ウイルス性出血熱で、アフリカ・中近東・旧ソ連・東欧・中央アジア地域などでの発生がある。
  • 病原体:クリミア・コンゴ出血熱ウイルス
  • 感染経路:宿主は家禽類・野生哺乳類で媒介動物はダニである。患者の血液・体液などの接触により感染する。
  • 潜伏期間:3〜6日
  • 症状・予後:症状はエボラ出血熱に類似しているが、感染者の発症率は20%程度である。致命卒は20%以上である。
  • 登校基準:エボラ出血熱と同様である。


ペスト
  • 感染症予防法で一類感染症に分類されている急性細菌性感染症で、日本では大正15年以降これまでペスト患者の発生はないが、アジア(中国・インド・ミャンマー・ベトナム)・アフリカ・南米・北米などで患者発生があり、その多くは腺ペストである。
  • 病原体:ペスト菌
  • 感染経路:宿主はネズミ、イヌ、ネコなどでノミが媒介する。肺ペストは飛沫感染をする。
  • 潜伏期間:腺ペストは2〜6日、肺ペストは2〜4日。
  • 症状・予後:腺ペスト(リンパ節への感染)の症状は、発熱とリンパ節の腫脹・疼痛である。肺ペストは,発熱・咳・血痰・呼吸困難である。治療が遅れた場合は50%以上の致命率で、特に肺ペストは致死的である。
  • 登校基準:原則として思者は指定医療機関に入院するので、治癒して退院するまで出席停止とする。(なお、肺ペストの症状は感染力が高く、患者接触者に予防的治療が必要である。)


マールブルグ病
  • 感染症予防法で一類感染症に分類されている致死的なウイルス仕出血熱で,アフリカ中東部・南アフリカなどでまれに発化する。
  • 病原体:マールブルグウイルス
  • 感染経路:ウイルスを保有している宿主は不明である。患者の血液・体液などの接触により感染する。
  • 潜伏期間:3〜9日
  • 症状・予後:症状はエボラ出血熟に類似しているが、エボラ出血熱よりは軽症であることが多い。致命率は20%以上である。
  • 登校基準:エボラ出血熱と同様である。


ラッサ熱
  • 感染症予防法で一類感染症に分類されているウイルス性出血熱で、中央アフリカ・アフリカ一帯での感染者は年間20万人位と推定されている。
  • 病原体:ラッサウイルス
  • 感染経路:宿主はネズミ。感染動物の糞・尿等の濃厚接触により人に感染する。患者の血液・体液などの接触により感染する。
  • 潜伏期間:6〜21日
  • 症状・予後:症状はエボラ出血熱に類似しているが、エボラ出血熱よりは軽症であることの方が多い。致命率は1〜2%である。
  • 登校基準:エボラ出血熱と同様である。


急性灰白髄炎(ポリオ)
  • 感染症予防法で二類感染症に分頻されているウイルス性感染症である。世界保健機関(WHO)は、西暦2000年までに地球上からのポリオ絶滅を目標として地球規模での活動を展開している。日本では現在ポリオは制圧された状態にある。
  • 病原体:ポリオウイルス
  • 感染経路:感染者の便,唾液などを感染源とする経口感染
  • 潜伏期間:7〜12日
  • 症状・予後:軽傷の場合は、かぜ様症状または胃腸症状だが、重症例では1〜2日のかぜ様症状の後、解熱に前後して急性の弛緩性麻輝が突然現れる。重症例は感染者のうち1%程度である。
  • 登校基準::原則として患者は指定医療機関に入院するので、急性期の症状が治癒するまで出席停.止とする(麻痺が残る慢性期については出席停止の必要はない。)。(なお、定期予防接種があるので、接種の既往を確認しておくことも重要である。)


コレラ
  • 感染症予防法で二類感染症に分類されている細菌性腸管感染症である。海外帰国者の感染例が多いが、国内でも集団発生が時々起こっている。最近は、海外旅行歴のない発症者が時々みつかっている。
  • 病原体:現存流行しているのは、エルトールO1型コレラである。1992年新型コレラ(O139)が見つかり,一時終息したが最近再び増加の兆しがある。日本ではO139感染による下痢症患者は「コレラ」ではなく、食中毒として取り扱われている。
  • 潜伏期間:数時間〜3日
  • 感染経路:汚染された水・食物・感染者便などを感染源とする経口感染
  • 症状・予後:突然激しい水様性下痢と嘔吐で発症、脱水に至る。適切な治療があれば重症化はまれである。
  • 登校基準:原則として患者は指定医療機関に入院するので治癒するまで出席停止とする。(なお,日ごろの健康教育や衛生管理が重要である。)


細菌性赤痢
  • 感染症予防法で二類数感染症に分類されている細菌性腸管感染症である。海外帰国者の感染例(旅行者下痢症)が多いが、日本国内でも幼稚園等で集団発生が起こっている。
  • 病原体:赤痢菌
  • 感染経路:感染者の便を感染源とする経口感染
  • 潜伏期間:1〜5日
  • 症状・予後:発熱・腹痛・下痢・嘔吐などが急激に現れる。適切な治療により重症化は防げるが、水の汚染などにより大規模な集団発生が起こることがある。
  • 登校基準:コレラと同様である。


ジフテリア
  • 感染症予防法で二類感染症に分類されている細歯性呼吸器感染症である。日本国内での発症は現在はまれであるが、流行的発生がみられる国もある。
  • 病原体:ジフテリア菌
  • 潜伏期間:2〜7日
  • 感染経路:患者又は保菌者からの飛沫感染
  • 症状・予後:発熱・咽頭痛・頭痛・倦怠感・嚥下痛など。鼻閉・鼻出血・嗄声・呼吸困難・心不全・呼吸筋麻痺などが続く。適切な治療により重症化は防げる。
  • 登校基準:原則として患者は指定医療機関に入院するので治癒するまで出席停止とする。(なお、定期予防接種がある。(乳幼児期:DPT(ジフテリア、百日咳、破傷風)三種混合ワクチン、小学校6年生:第二期のDTワクチン))


腸チフス、パラチフス
  • 感染症予防法で二類感染症に分類されている細菌性腸管感染症である。海外帰国者の感染例(旅行者下痢症)と国内発生例はほぼ同数である。
  • 病原体:腸チフス……サルモネラチフス菌、パラチフス…サルモネラパラチフスA菌
  • 潜伏期間:1〜2週間
  • 感染経路:経口感染
  • 症状・予後:持続する発熱・徐脈・発疹(バラ疹)・脾腫などである。重症例では腸出血・腸穿孔があるが、適切な治療があれば重症化はまれである。パラチフスは腸チフスより軽い症状であることが多い。
  • 登校基準:細菌性赤痢と同様である。

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