1 出席停止期間の考え方

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 学校においては,感染症の中でも人から人に伝染する疾病、すなわち伝染病の流行を予防することが、教育の場・集団生活の場として望ましい学校環境を維持するとともに、健康な状態で教育を受けることができるためにも極めて重要である。
 このため、学校保健法施行規則において、学校において予防すべき伝染病の種類と出席停止の期間の基準等が定められている。
 感染症の伝染を予防するために、感染症患者は、病原体を多量に排泄しており、他人に容易に感染させる状態の期間は集団の場に入ることを避ける必要がある。また、健康が回復するまで治療するなどの対策を講じる必要がある。
 出席停止の期間は、感染様式と疾患の特性を考慮して、それぞれの疾患について人から人へ伝染する程度に病原体が排泄されている期間を基準としている。このため、微量の病原体が咽頭等に存在しても、他人に感染するおそれがない程度であれば、出席停止の措置を講じる必要はない。集団の中で流行する場合は、飛沫感染によることが多く、咽頭でウイルスが増殖している時期が出席停止を必要とする。一方で、糞便中に長期(1か月程度)にわたってエンテロウイルスなどが排泄される場合については、手洗いの励行などにより他人への伝染のおそれは低くなるので、出席は可能である。
 なお、児童生徒等に対する出席停止の措置等において差別や偏見が生じることのないように、各学校においては十分に配慮する必要がある。このためにも児童生徒等が病気や治療、予防についての正しい知識や態度を身に付けることが重要である。

(参考)臨時休業について
 学校における伝染病予防の出席停止以外の重要な措置として臨時休業がある。伝染病による出席停止が児童生徒等の個々の者に対して行われる措置であるのに対し、臨時休業は、同じく伝染病予防上の措置ではあるが、臨時に学校の全部又は一部の授業を行わないこととする(いわゆる学校閉鎖や学級(学年)閉鎖)ものであって伝染病の流行を防止するためのより強力な措置である。これらの措置の趣旨・意義等を十分踏まえた対応が望まれる。また、いずれの措置を講じる際にも一般公衆衛生活動との連絡が必要であることから保健所と連絡をするものとなっている。
 なお、どのような場合に臨時休業を行うべきかは、伝染病の種類や各地域、学校における伝染病の発生・流行の態様が様々であり、この場合の基準を一律に決めることは困難であるため、特に定められていない。一般的には、欠席率が通常時の欠席率より急速に高くなったとき又は罹患者が急激に多くなったときは、その状況を考慮し、さらにその地域における伝染病の流行状況を考慮の上時期を失することなく行うことが必要である。


Q&A なせ、学校保健法において「感染症」という言葉を使わないのですか。
  • 感染症予防法の制定に伴う学校保健法の一部改正等においては、一部を除いて「伝染病」に関連する用語についての改正は行われていません。
  • これは、
    1. 感染症はペスト、コレラ、赤痢等の、「人から人へ伝染する疾病」(伝染性感染症)及び破傷風のように「人から人への伝染を起こさない疾病」(非伝染性感染症)を含む概念であり,感染症予防法制定後も伝染病という概念が存在すること。
    2. 学校保健法でいう「伝染病」とは、風疹などのように「人から人へ伝染する疾病」を意味すること。
     といったことから、感染症予防法制定による用語を改正する必要がないためです。
  • なお、感染症予防法の制定に伴い、学校保健法以外に「伝染病」に関連する用語を改正しない法律もあります(公衆浴場法、鉄道営業法など)。