インフルエンザワクチンについて:インフルエンザワクチンは、日本では1994年から定期の予防接種からはずされたため(欧米では老人や慢性疾患を持つ患者さんなどを中心に広く接種が行われており、日本でも数年以内に危惧されている大流行に備えてワクチンの供給体制は整えられつつあります)極端に接種率は低下してしまいましたが、調査の結果、ワクチンの効果が見直され、平成13年から高齢者に対しては積極的にワクチンの接種を勧める事となりました。アメリカでは乳幼児に対しても高齢者と同様、接種が勧められており、近い将来日本でも同じ様になる事が予想されます。 日本のインフルエンザワクチンは、WHOが推奨した株を基本とし、流行状況などを勘案してその年に流行すると予測される型に有効なものが作られておりますが、この10年間、予測と実際に流行したウイルス株はほぼ一致しており、予測精度が上がったこともワクチンの効果を高める事に貢献していると思われます。

ワクチンの効果について:厚生省のインフルエンザワクチンの効果に関する研究によりますと、65歳以上の高齢者については、約45%の発病を阻止し、約80%の死亡を阻止する効果が認められています。 しかし、インフルエンザウイルスは前述しました様に微妙にその形を変える(小変異)事、さらには、ワクチンの接種で血中に抗体はできるもののウイルスが侵入する鼻腔内粘膜や上気道における抗体の量は多くならないなどのため、ワクチンを接種すれば、インフルエンザにかからないという訳ではありません。

インフルエンザワクチンの副作用:注射部位の腫れと痛み、発熱、頭痛、寒気、嘔吐、倦怠感などがまれに見られます。

ワクチンを受ける際の注意:重症の卵アレルギーの人、以前にインフルエンザワクチンによるアレルギー反応その他の問題のあった人は受けられませんので、ご注意下さい。

ワクチン接種の時期:予防接種の効果が現れるまで約2週間かかります。また、その効果の持続は約5ヶ月と考えられておりますので、流行の時期が1月〜3月であることを考えると年内には接種を済ませておくことが大切です。2回接種する場合には、その間隔は1〜4週(4週がベスト)とされていますので、11月中に1回、12月中に1回の接種をお勧めします

何回受ければ良いのでしょうか:13歳未満の場合には、過去にインフルエンザウイルスに接触した経験が少ない事から2回接種が必要です。一方、65歳以上の場合、1回の接種でも十分効果があるとする研究結果が得られており、1回接種で良い事になりました。13歳以上64歳以下の方の場合は、2回接種を原則とするものの、平成14年の冬から(海外での知見を参考にして)「本人の希望や医師の判断があれば1回でも良い」となりました。

ワクチンの接種料:一定の決まりや取り決めはありません。自由診療になりますので、各医療機関により異なります。一般的な価格は、1回分が2500円〜4000円くらいの様です。