■定義:インフルエンザは、強い全身症状に始まり、主に気道を侵し、強い感染力により短期間に速やかに流行が拡大するインフルエンザウイルスによる急性の伝染性感染症と定義されます。
■名前の由来:インフルエンザという用語は14世紀のイタリアのフィレンツェで、「寒さの影響」「星の影響」を意味する言葉としてインフルエンツァ(influenza)と呼ばれていたことがその起源の様です。インフルエンザにはA型、B型、C型の3つのタイプがあります。A香港型、Aソ連型などが有名です。その年により流行する型が変わります。またやっかいな事に同じ型でも毎年微妙に形を変化させますので、以前にインフルエンザにかかってできた免疫も役に立ちません。毎年かかる可能性があるのです。インフルエンザには大流行のたびに名前がつけられており、1918年のスペイン風邪(H1N1)、1957年のアジア風邪(H2N2)、1968年のホンコン風邪(PN2)、1977年のソ連風邪(H1N1)などが有名です。
■インフルエンザと普通のかぜ(普通感冒)の違い:かぜ症候群は、くしゃみ・鼻水・鼻閉・咽頭痛・咳・痰などの呼吸器系の症状と発熱・頭痛・全身倦怠・食欲不振などの全身症状、嘔吐・下痢などの消化器症状などがいろいろな組み合わせで見られる疾患と定義されます。これを病型として分類するとインフルエンザ、普通感冒、非細菌性咽頭炎、咽頭結膜熱、急性気管支炎、異型肺炎などとなり、インフルエンザは鼻汁・咽頭痛・咳などの症状のほかに高熱・全身倦怠・頭痛・腰痛などの全身症状が強いもの、普通感冒は、主にくしゃみ・鼻汁・鼻閉などの上気道の症状が顕著で発熱などの全身症状は軽いものです。
要項 | インフルエンザ | 普通感冒 |
伝染性(家族的発生) | 大、罹病率20〜40% | 強くない |
発病 | 急 | 徐々 |
優勢症状 | 一般全身症状 | 上気道局所症状、主に鼻汁・くしゃみ |
悪寒 | 強い | 弱い |
熱及び熱型 | 高く、しばしば二峰性 | 多くは無熱 |
頭・腰・関節・筋痛 | 強い | 軽く、しばしば頭痛だけ |
全身倦怠 | 強い | 軽い |
重病感 | ある | ない |
鼻汁 | 後続する | 先行、顕著 |
扁桃炎 | ない、あるいは軽い | しばしばある |
咳 | 強い | ない、あるいは軽い |
眼球結膜充血 | しばしばある | 普通ない |
脈拍数 | 年長児ではしばしば相対的徐脈 | 熱相当 |
白血球減少 | しばしばある | あっても軽度 |
経過 | 単純型では短い | やや長引く |
流行期間 | 短期で終わる | 長引き散発する |
病原 | インフルエンザウイルス | 主としてライノウイルス、その他 |
経過後免疫 | あり、3〜4ヶ月は続く | 短期 |
(相沢 昭:小児科診療マニュアル.日本医師会雑誌 第102巻 第10号) |