○ |
「点滴をして栄養をつける?」 |
(もどる) |
ときどき外来で、「ご飯が食べられないから点滴をしてほしい」と頼まれるのですが・・・ | |
ときどきご飯が食べられないから点滴をしてほしいと頼まれることがあります。ほとんどの方は水分はとれているとおっしゃいます。このような方の大部分は点滴に対して、過大な期待をよせていることが多いようですが、通常外来で行われる点滴に含まれるカロリーは100キロカロリー程度で(200キロカロリーにしてあるものもあります)、缶ジュース1本分にすぎません。 カロリーをあげるためには、糖の濃度を上げなければならないのですが、糖の濃度を上げると血管炎を起こして血管をダメにしてしまうのです。点滴の中身はイオン飲料に近いものですから、吐いて下痢をしているような場合で、イオン飲料も飲めないような場合には非常に有効な治療手段となりますが、点滴はご飯の代わりにはなりません。それでも点滴を受けたら元気がでたと言うときには、心理的効果も含まれているように思います。 種類によって多少の違いはありますが、点滴1本(500ml)をするのにかかる医療費は約1000円(負担する金額は保険の種類によってちがいますが)。医療機関側はほとんどの場合、依頼されれば必要ないと思っても「いやダメです」とは言わないでしょう。保険財政が破綻しているいま、ちょっと考えたい問題と思います。 |