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かぜは万病の元とよく言われます。確かにかぜをきっかけとして体調を壊すことはよくあります。かぜといえども甘く見てはいけないのはこの合併症があるからです。このページではそのようなかぜの合併症について触れたいと思います。なお、鑑別が難しいので、かぜかな?と思ってみていたら別のウイルス感染症だったというものも含めて扱うことにします。

肺炎:最も頻度の高い合併症で、かぜのウイルスにより破壊された呼吸器粘膜から二次的に、ぶどう球菌・インフルエンザ桿菌・肺炎球菌・レンサ球菌などの細菌が感染し引き起こされます。肺炎の合併はインフルエンザの時に頻度が高いことはよく知られている事で、乳幼児や老人では特に注意が必要です。なお、インフルエンザでは、いったん治癒したと思われてから、3〜10日経ってから発症するインフルエンザ後肺炎にも気をつけなければなりません。

髄膜炎:かぜに伴う髄膜炎は細菌によるものではないという意味から、無菌性髄膜炎と呼ばれます。主としてウイルス(エコー・コクサッキーなどエンテロウウイルスが全体の90%、他にアデノウイルス、ムンプスウイルスなど)の感染により、高熱と頭痛・嘔吐・項部硬直(首から肩までが板の様に固くなる状態)などの髄膜刺激症状で急激に発症します。通常、髄液検査により診断が確定します。予後は一般に良好で、1週間前後で良くなります。

中耳炎:咽頭には鼓膜の内側に通じる管(耳管)が開口しており、小児では大人に比べてこの管が太く短く傾斜がないなどの理由で容易に細菌が内耳に到達しやすい構造になっています。このためかぜをひいた後に耳を痛がる様な症状がみられたときには、真っ先に中耳炎の合併を疑います。

結膜炎:鼻涙管(鼻腔と眼をつなぐ管)を介した感染や涙目をこすることなどによる細菌感染のほか、咽頭結膜熱などでは、症状の一つとして結膜炎を伴うなど比較的よく見られる合併症です。多くの場合、抗生物質の点眼薬により簡単に治癒します。

副鼻腔炎:副鼻腔は鼻の周りにある頭蓋骨の空洞です。この空洞は鼻腔に通じておりますので、かぜをひくと鼻腔にいるウイルスや細菌が副鼻腔の粘膜に伝わって副鼻腔炎を起こすことがあります。頭重感や頭痛、目の奥の痛みなどの症状が見られます。なお、蓄膿症は慢性副鼻腔炎の別名です。

ライ症候群:小児において極めてまれに、水痘・インフルエンザなどのウイルス性疾患の先行後に、激しい嘔吐、意識障害、けいれん(急性脳浮腫)と肝臓ほか諸臓器の脂肪沈着、ミトコンドリア変形、GOT・GPT・LDH・CPKの急激な上昇、高アンモニア血症、低プロトロンビン血症、低血糖などの症状が短期間に発現する高死亡率の病態をライ症候群といいます。アスピリン(解熱剤の1つ)の投与との関連が指摘されていますので、インフルエンザや水痘の可能性の高いときにはこの製剤を使わない事が大切です。

インフルエンザ脳症・脳炎:比較的希な合併症ですが、いったん発症すると重症化する事がありますので注意が必要です。頭痛・けいれん・意識障害などの症状で始まります。おかしいな?と思った時には、早めに医療機関を受診して下さい。

心筋炎:コクサッキーウイルスによる心筋炎がよく知られていますが、インフルエンザウイルスでも時にみられます。致死的な合併症となることがありますので、注意が必要です。

その他:その他の合併症としては、急性小脳失調症やギランバレー症候群、筋炎などが上げられます。