もどる

新しいインフルエンザ治療薬として、ノイラミニダーゼ阻害剤が注目されています。日本でもリレンザ(ザナミビル水和物)とタミフル(リン酸オセルタミビル)が保険適用となっています。この両剤は、いずれもインフルエンザウイルスの増殖に必要な酵素であるノイラミニダーゼを阻害することにより、ウイルスの増殖を直接阻止します。同じ抗インフルエンザ薬の塩酸アマンタジンと違いA型にもB型にも有効で、中枢神経系には移行しないため重大な副作用の報告はなく、耐性の出現率も低い上に、耐性ウイルスは感染力が大幅に低下するなど良いことづくめの薬剤として注目されています。問題は、アマンタジンの10倍近いというコストでしょうか・・。
Zanamivir(商品名:リレンザ):吸入で使用するノイラミニダーゼ阻害剤です。効果は、発病後30時間以内に治療を開始した場合、インフルエンザの主要症状が3日間短縮し、予防効果についても健康成人で1日1回の吸入で認められています。吸入薬ですので小児での使用は難しいと言われています。
Oseltamivir(タミフル):内服で使用するノイラミニダーゼ阻害剤です(小児用のドライシロップもあります)。治療効果は、oseltamivir内服群では、インフルエンザに関連する症状が45時間短縮し、40%の軽症化がみられ、予防効果は、1日1回内服群では、76%、2回群では72%インフルエンザの発症が減少しました。副作用としては、まれに悪心・嘔吐がみられることがある程度です。
タミフルの予防投与:平成16年のシーズンからタミフルの予防投与(保険外診療)が認められました。予防使用の対象となるのは、原則としてインフルエンザ患者と同居している家族や共同生活を行っている方で、下記に該当する方に限られます(インフルエンザ患者と同居・共同生活をしていない方々は、インフルエンザ患者と接触があってもタミフルの予防投与の対象とはなりませんのでご注意下さい。また、健康な成人や13歳未満の小児も対象となりません)。
  • 65歳以上の高齢者
  • 慢性呼吸器疾患または慢性心疾患患者
  • 代謝性疾患患者(糖尿病など)
  • 腎機能障害患者

参考文献:新しい時代を迎えたインフルエンザ対策 菅谷憲夫 朝日メディカル 1999年12月号 P34−36