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血液の病気を理解する上で必要となる基礎知識を簡単に解説します。私が看護婦学校の血液の先生をしていた時の講義録を元にしていますので、少し難しいかもしれません。
血液とは
  • 血管内を流れる液状の組織で、体重の10〜13分の1を占めます。
  • 血液は血球と総称される細胞成分と血漿と呼ばれる液体成分とから成り立っています。
  • 血球成分は、赤血球、白血球、血小板に分かれており、それぞれ固有の形と機能を持って生命の維持に欠かすことのできない大切な役割を担っています。
赤血球について
  • 赤血球:膜に包まれた直径約7μの円板状の無核の細胞で大部分はヘモグロビン(乾燥重量の95%)からなります。
  • ヘモグロビン:ヘム(鉄を持つポルフィリン錯化合物)4分子とグロビン(4本のポリペプチド鎖)1分子からなります。
  • ヘモグロビンの代謝
    •     
      赤血球 ヘモグロビン(Hb) Hb・Hp複合体 網内系細胞

      ハプトグロビン(Hp)

      ○○○○○○ ヘモグロビン ビリルビン 肝で代謝され尿や便から排泄
      鉄・グロビン 再びヘム合成に利用される
  • 鉄の代謝
    • 体内に4〜5g
    • 鉄の分布
      ○● ヘモグロビン 60〜70%
      貯蔵鉄 20〜30% フェリチンとして肝臓・脾臓・骨髄に存在
      その他  3〜 5% ミオグロビンなど
      不安定鉄プール  2〜 3%
    • 鉄は閉鎖回路で、1日1mgきり排泄されません(排便・排尿・発汗)。また、鉄は十二指腸、小腸上部で約10%吸収されるので、成人男性で1日10mg、成人女性で1日20mg、妊婦で1日30mgの鉄が必要といわれています。
    • 鉄は血中では、トランスフェリンと結合して運搬されます。トランスフェリンが100%鉄と結合した時の鉄の濃度を総鉄結合能(TIBC)、TIBC−血清鉄を不飽和鉄結合能(UIBC)と呼びます。通常、トランスフェリンの約3分の1が鉄と結合しています。
    • 血清鉄=トランスフェリンに結合している単に輸送中の鉄で、正常値は男性で、90〜150μg/100ml、女性で、80〜120μg/100mlです。
    • 1回の正常月経で約20mgの鉄を喪失し、1回の妊娠・出産では約1000mgの鉄を喪失すると言われています。
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白血球について
  • 末梢血液の白血球数は通常約3500〜8500/μlです。
  • 白血球には、以下の様な種類があり、それぞれ違った働きを担っています。
    • 好中球(50〜65%):生体に侵入する感染病原体や異物に対する防衛反応(貪食と消化)を行う。
    • 好酸球(1〜4%):アレルギー反応、抗原抗体反応に関与する。
    • 好塩基球(0〜1%):細胞表面のIgEに特異抗原が結合すると、ヒスタミン、ヘパリンなどを分泌し、病巣の吸収、血流の改善、炎症治癒の促進などに関与する。
    • リンパ球(20〜40%):T細胞とB細胞に大別され、前者は細胞性免疫、後者は液性免疫に関与する。
    • 単球(5〜7%):骨髄で作られるが、組織にでて、マクロファージとして主に老廃物の除去、組織の修復などに関与する
血小板について
  • 血小板は直径2〜4μの小さな血球で、骨髄巨核球の細胞質からちぎれるように分離してできます。
  • 主に血を止める際に活躍します。具体的には
    • 粘着・凝集により血小板血栓を作ります。その後凝固因子の働きで止血がさらに進行します。
    • 血小板第三因子の放出により内因性トロンボプラスチンを形成します。
    • このほか血餅収縮と呼ばれる働きもします。
    • 通常、10万以下を血小板減少症、50万以上を血小板増加症とします。
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