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糖尿病とは:食事をすると、誰でも一時的に血糖値が高くなりますが、血糖値が高くなると、膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、血糖値を下げるように作用します。インスリンが分泌されなかったり、分泌されても量が少なかったり、インスリンがうまく作用しなかったりすると、血糖値は正常値を越えて高くなってしまいます。これが糖尿病です。通常、尿中には糖は排泄されませんが、血糖値が異常に高くなると尿に糖がでてきます。「糖が尿にでる病気」という名前の由来です。糖尿病には、主に子供の頃に発生するインスリン依存型糖尿病と、主に中年以降になって発症するインスリン非依存型糖尿病があります。日本の糖尿病の患者さんの99%は後者のインスリン非依存型糖尿病です。 糖尿病の発症メカニズム:糖尿病の発症には、体質的な素因が関係しています。インスリン分泌量が少ない、インスリンの効き目が悪いなどの素因は元々持っているものです。しかし、体質的因子だけで糖尿病が発生するわけではなく、それに種々の生活習慣(食べ過ぎ・運動不足・肥満・ストレス)が加わることで初めて発症します。

血糖値が高いとなぜいけないの?:血糖値が高い状態が続くとブドウ糖がタンパク質と結びつき糖化タンパクが作られます。この糖化タンパクには、動脈硬化を促進する作用があります。例えば、有名なLDLコレステロール(悪玉)が糖と結合してできる糖化LDLは血管壁に沈着しやすくなりますし、
余分なLDLを肝臓に運ぶ役割をもつHDLコレステロール(善玉)が糖と結合するとその働きが低下します。さらに高血糖状態が持続すると細胞内に多量のブドウ糖が取り込まれ、この取り込まれたブドウ糖がアルドース還元酵素によってソルビトールに変えられます。ソルビトールは細胞内に水分を引き込む性質があるため、水分が細胞内にどんどん引き込まれやがてその細胞は破壊されてしまいます。このアルドース還元酵素は、網膜や腎臓、血管、神経に多く含まれるため糖尿病ではこれらの臓器が標的器官(障害を受けやすい臓器)となるわけです。

糖尿病の症状:初期の段階では、自覚症状はほとんどありません。「のどが渇く」、「疲れやすい」、「尿の量や回数が多くなる(たびたびトイレに起きる)」、「体重が減る」などの症状が現れるのは、かなり進行してからです。糖尿病発症後、放置していると7〜10年後には、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、末梢神経障害、血管障害などの合併症が現れてきます。糖尿病が本当に怖いのはこの合併症なのです。合併症については別のところで詳しく解説したいと思います。

糖尿病の診断:糖尿病の診断に使われる検査項目としては、尿糖検査と血糖検査、糖化ヘモグロビン検査が代表的なものです。

糖尿病の現状 :糖尿病は年々増加しており、40歳以上の約10人に1人、60歳以上では、約10人に2人が糖尿病と言われています。現在、糖尿病の患者さんは約700万人、糖尿病予備軍(境界型)はおよそ1500万人いると推定されています。


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