土川内科小児科ニュース  3月号  No.62   もどる

  今月のテーマ:スギ花粉症

今年の冬はインフルエンザは大流行とはならずに済みそうでホッとしているところですが、今度は花粉症が心配です。
今年のスギ花粉の飛散予測によると、昨年より若干少ないものの平年の1.2.1.5倍と多め、飛散時期は例年よりも早めというものでしたが二本松市におけるスギ花粉の飛散開始日は2月25日で、昨年の3月13日、一昨年の3月5日よりも予測どおりだいぶ早かった様です。今年の冬は雪が少なく暖かかった事がその理由と思われます。
安達医師会のホームページでは、枡病院(検査科)さんのご協力をいただいて、二本松市のスギ花粉の飛散状況を2月1日から4月30日まで毎日発表しています。→スギ花粉飛散情報 新聞などでも福島や郡山のデーターはあるものの二本松市の情報は公開されておりません。スギ花粉症の場合、スギ花粉との接触を避ける事が予防対策として非常に重要な事です。スギ花粉の飛散量が多い日には外出を避けるなどその日を含め数日前からの飛散量をより正確に知ることで有効な対策が取れますので、是非ご利用ください。
 ところで、過去のスギ花粉の飛散量のデーターを比較検討することで、いろいろな事がわかりました。スギ花粉症の対策を講じる上で役に立つと思われますので、二、三ご紹介致します。
 右の図は、1996年から2001年までのスギ花粉の積算飛散量を比較したグラフです。積算飛散量とは、そのシーズンに飛散したスギ花粉の量を合計したものです。このグラフを見ると1996年の飛散量はわずか250個程度と非常に少なく、2000年は約3500個と非常に多くなっていることがわかります。スギ花粉の飛散量は年によってなんと14倍もの開きがあるのです。この積算飛散量とそのシーズンの症状を比較することで、ご自身のスギ花粉症対策がどの程度功を奏しているかがわかります。かなりの飛散量だった年を上手に乗り切れた場合には種々の対策や治療が有効だった訳ですので、今後もその方法を続ければ良いとなります。逆にスギ花粉がさほど飛んでいないにもかかわらず、あまり快適に過ごせなかった場合には、もう少し積極的な対策を講じる必要がある事になります。
 次に昨年と一昨年の飛散量の推移を表した右図をご覧いただくと、2000年のシーズンでは、3月20日頃から4月10日まで何度か300個前後のピークが繰り返し見られていますが、2001年には3月20日頃から約1週間の間に非常にたくさんの飛散が認めれらたものの、それ以外の日はそれほどではありませんでした。この様な年には、この時期さえ積極的に花粉との接触を避ける様な対策をとれば、比較的楽に過ごせることがわかります。シーズンの途中では今後の推移までは予測できませんが、少なくとも100個以上の飛散があった日から1週間前後はスギ花粉の飛散が多い可能性が高いと思われますので、警戒態勢を解除せずに慎重に対応する事で鼻水が止まらず、鼻づまりもひどく眠れない、目が真っ赤にはれてしまうなどの悲惨な状況からは開放される事でしょう。この様に、スギ花粉の飛散量を参考にスギ花粉との接触をできるだけ減らす努力をする一方で、抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤、漢方薬などの薬剤をご自身の症状にあわせて上手に使い、このつらい季節を乗り切りましょう。
花粉症とかぜの見分け方は?(おまけ)すでに検査などで花粉症の診断がついている場合には、シーズン中であればあまり迷わないと思いますが、風邪と花粉症の区別がなかなかつかない事があります。この両者を区別するポイントは、目のかゆみを伴えば花粉症、発熱や咳を伴っていれば風邪の疑いが強いと考えられます。また、風邪は通常、5.6日で軽快しますが、花粉症では原因となる花粉が飛んでいる間ずっと続きます。また、風邪の場合には、黄色や緑の鼻汁になる事がありますが、花粉症ではずっとさらさらした「水っぱな」のままです。なかなか区別がつかないときには、鼻汁の中の好酸球の量やRASTと呼ばれる血液検査を行うことで、この両者を明確に区別することができますのでお気軽にご相談ください。
花粉症の日常生活のポイント10
  1. 花粉飛散情報に気をつける
  2. メガネ・マスクでガードする
  3. 洗濯ものやふとんを外に干さない
  4. 花粉のつきやすい衣服をさける
  5. 帰宅したら衣服をはたく
  6. 外出後にはうがいや洗顔・シャンプーをする
  7. 窓やドアを開けっぱなしにしない
  8. こまめに掃除をする
  9. 空気清浄機を使用してみる
  10. 医師の指示を守り、適切な薬物治療を行う
鼻アレルギー情報センターのHPから引用
トップへ