健康最前線(No.68)
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今月のテーマ:水痘(みずぼうそう)、帯状疱疹
◆◆水痘について◆◆
原因 ・伝染様式:水痘・帯状疱疹ウイルスの飛沫および接触感染が原因です。かゆみを伴った発疹(発赤→水疱→かさぶた)が全身に出現する病気です。水疱の中には水痘ウイルスが入っていて、水疱がつぶれるとウイルスが飛び散って他の人にうつします。伝染力が強いために、家庭内や保育園などでみんながかかってしまうことがあります。一度かかったら、免疫ができますので、その後再び水ぼうそうになることはありません。潜伏期はほぼ2週間です。
症状・診断・経過:37〜39度の発熱と共に、赤い小さな発疹が次々とできては水疱になって、やがてかさぶたになります。色々な段階の皮疹が同時に存在するのが水ぼうそうの特徴です。水疱の出方は、全身にたくさん出る場合とパラパラと出る程度で終わってしまう場合などいろいろです。数が少ない時には虫さされなどとの区別が問題となりますが、診断はそれほど難しくありません。頭に水疱ができていれば、水ぼうそうの可能性が非常に高くなります。  発熱は通常1〜3日です(発熱の見られないこともあります)。38.5度以上の発熱が4日以上続くときには、お薬が残っていてももう一度診察を受けましょう。平均して1週間〜10日でよくなります。
合併症:水疱をかきむしると細菌感染が起こり、膿を持つことがあります。また、無菌性髄膜炎や肺炎を合併することもありますが、まれです。水ぼうそうやインフルエンザの時に、アスピリン入りの熱さましを使うと激しい嘔吐・意識障害・けいれんなどの症状を特徴とする「ライ症候群」を起こすという報告がありますので注意して下さい。 
治療:かゆみを抑えるためにぬりぐすりと飲み薬を処方します。二次感染を起こしたときは抗生剤を使用します。通常、対症療法のみで軽快しますが、水ぼうそうに有効な抗ウイルス剤が開発されており、使用することもあります。発疹が出て3日以内(早ければ早いほど効果が期待できます)にこの薬を使えば、発疹の数が少なく、個々の水疱の大きさが小さく、治るまでの期間が短くなります。
家庭で気をつけること:発疹はかゆみが強いため、かきこわしてしまうことが多く、そこに細菌が感染しやすいので、かかせないようにする事が大切です。手をまめに洗って清潔にし、爪も短くしておきます。また、水疱をつぶしてしまわないように注意して、シャワーやかけ湯をして肌を清潔にしてあげましょう。かさぶたになってしまったら、湯ぶねにはいってもOKですが、かさぶたを無理にはがさないように注意してください。  また、皮疹は陰部や口内、頭、目など、ありとあらゆる場所にできる可能性があります。口の中にできた場合には、しみる物や酸っぱい物は避けてください。特に食べていけない物はありません。目の中にできた時には、早めに眼科の先生にご相談下さい。こすると悪化しますので、注意が必要です。
水痘の予防法:まだ水ぼうそうにかかっていないお子さんが、水ぼうそうにかかったお友達と接触したり、兄弟に水ぼうそうが発生した場合の対策として、予防接種や抗ウイルス剤の予防内服などがあげられます。抗ウイルス剤の予防内服で発症をかなりの確率で防ぐことができますが、自費診療となり、また水痘の抗体ができない場合もありますので、あまりおすすめしておりません。受験を控えているなどの特殊な事情で是非予防内服を行いたいという場合にはご相談下さい。
学校や幼稚園・保育園は? :すべての発疹がかさぶたになるまでは感染しますので隔離が必要で、登校・登園禁止となります。最初の皮疹がかさぶたになってもまた新しいものが登場しますので、治癒までには早くても1週間。通常10日前後かかります。まだ感染力があるうちに登園・登校するとお友達にうつしてしまいますので、必ず診察を受けて許可を得てからにして下さい。

◆◆帯状疱疹について◆◆
水ぼうそうに一度かかったことのある人が、何年か経って再発したのが、帯状疱疹です。水ぼうそうのウイルスは治った後でも体の中に潜んでいます。そして何かのきっかけでウイルスに対する抵抗力が落ちてくるとまた病気になってしまいます。これが帯状疱疹です。いわば二度目の水ぼうそうです。
帯状疱疹はうつる?:帯状疱疹にかかった人が、まだ水ぼうそうにかかっていない子にうつす事はあります(その場合、うつされた子は水ぼうそうになります)。帯状疱疹がうつることはありません。
帯状疱疹の症状:体の左右どちらかの皮膚の一部にチクチクとするような痛みが起こり、しばらくするとその部分が赤くなります。数日後にはその上に小さな透明の水ぶくれが現れます。やがて濁って黄色くなり、かさぶたができて治っていきます。全身に出るのではなく、同じ神経の支配領域(体の片側で顔とか胸、背中など)に出ます。治るまでに約2〜3週間かかります。
帯状疱疹後神経痛:子供ではあまり問題になりませんが、大人(特に高齢者)では、皮膚の症状が治った後、神経痛で長い間悩まされることがありますので、早期診断、早期治療が大切です。
帯状疱疹の治療:帯状疱疹は疲れがたまったり、体の抵抗力が落ちたときに起こりやすい病気ですから、安静にすることが治療の基本です。また、できるだけ早期に抗ウイルス剤の投与を開始することが大切です。これにより、後々神経痛で悩まされる可能性が少なくなります。発疹が他の場所に広がったり、頭が痛い・首が痛い・高熱が出る・物が二重に見えるなどの症状が出たときには、すぐに相談して下さい。
帯状疱疹は再発する?:帯状疱疹になった直後には、原因ウイルスに対して強い免疫力ができていますので、すぐに再発することはありませんが、2年以上経過すると免疫力が次第に低下してきますので、およそ100〜200人に1人くらいの頻度で再発することがあります。
水痘の予防接種について
  • 定期接種には含まれておりません(任意接種)ので自費になります。
  • 水痘のワクチンは元々白血病や免疫不全などの病気をもつ子供のために開発されたものですので、毒性をかなり弱めてあります。そのため、接種を受けても病気になってしまう場合があります(効果は90%前後)が、なっても軽く済むことがわかっています。
  • 水痘に接触後、3日以内に予防接種を受けた場合、約80%の確率で発症を予防できると言われています。発症は防げなくても軽くできる可能性はありますので、早い段階であれば予防接種を考えてみてください。
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