健康最前線(No.87) |
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今回のテーマ:予防接種(H17年改訂版)
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平成17年〜18年にかけて予防接種の受け方が大きく変更になりましたので最新の情報をまとめてみました。 |
■定期接種:定期の予防接種には、BCG、ポリオ、三種混合、麻疹、風疹、日本脳炎がありますが、BCGと麻疹・風疹の受け方が大きく変わりました。(日本脳炎もより精製された製剤が発売になるまで、その接種が延期となりました)。改訂により、接種可能な年齢の上限が大幅に早まりましたので、計画性を持って接種していかないと、無料接種のチャンスを失ってしまいますので、ご注意下さい。 |
■基本的原則:予防接種には生ワクチンと不活化ワクチンの2種類があり、生ワクチンは接種後4週間あけないと次のワクチンは受けられません。これに対して、不活化ワクチンは1週間で次のワクチンが受けられるようになります(ただし、三種混合を続けて受ける場合には、3週間あけなければなりません)。また、これまでは民法の規定でちょうど一週間目、四週間目には受けて良いかどうかの判断が不明確でしたが、今回の改訂ではっきり受けても良いとなりました(つまり、一週間目、四週間目の同じ曜日に受けても良いという事です)。 |
■具体的な受け方
- 「まず、BCG」 平成17年4月からはBCGは生後6ヶ月までに受ける様に変更になりました(安達医師会管内では3ヶ月以降6ヶ月未満)のでBCGをまず受けましょう。乳児期の結核は重症になりやすいのですが、BCGにはそれを防ぐ効果が高く、この事を重視しての改訂の様です。また、乳幼児期のツベルクリン反応は本当は陰性なのに陽性となってしまう事がよくあるため、ツ反なしで直接BCG接種を行う事になりました。結核に罹患していても、BCG接種で重大な問題が起こる事はありませんが、通常では接種3〜4週間後に現れる反応(膿栓形成)が10日前後で出現した場合には、既に結核に罹患しているかどうかのチェックなどが必要となりますので、すぐに受診してください。
- 「次に三種混合」 BCGの次に受けるのは三種混合ワクチンが良いでしょう。まだ体力のない乳児期に百日咳に罹患すると本当にかわいそうです。乳幼児期の三種混合は、3週間〜8週間の間隔で合計3回、その約1年後1回の計4回です。小さいうちは良く熱を出しますので、はじめの3回は3週間間隔で受けるつもりでいて、風邪などのために少々遅れてもそれぞれの間隔が8週以内に収まるような工夫が大切です。接種間隔が8週をすぎると予防接種の効果が減弱する可能性がありますのでご注意下さい。なお、このワクチンは沈降ワクチンですので、接種部位に小さなしこりが一〜二ヶ月残りますが自然になくなりますので心配いりません。
- 「一歳までにはポリオを終了」 次に、ポリオですが、ポリオは集団接種で行われるため、受けることのできるチャンスが限られています。幸い、日本では野生株によるポリオの発症はありませんので、あわてて受ける必要はありませんが、1歳前に1回は受けておくと安心です。ポリオの日程は各市町村で決められた日時に受けることになりますので、ある程度はポリオに合わせて他のワクチンの日程を調整しなければなりませんが、ポリオを受けるために他の重要なワクチンの接種が大幅に遅れるような場合には、ポリオが後回しになってもかまわないと思います。
- 「一歳になったらMR」 1歳のお誕生日が過ぎたら、真っ先に受けたいのが麻疹ワクチンです。これまで麻疹ワクチンと風疹ワクチンは別々に受けてましたが、平成18年の4月からはこの二つのワクチンを同時に接種(MRワクチンを使用)する事になりました。さらに、小学校入学時前の1年間にもう一度接種と、これまでの1回接種から2回接種に変更になりました。これまでの1回接種では、小学校高学年〜中学生位にかけて、麻疹や風疹に対する免疫力が落ちてしまい、これらの感染症に罹患してしまう事が少なくない事がわかったからです。なお、1回目の接種は2歳を過ぎると受けられなくなりますので、注意して下さい。麻疹は罹患するととても怖い病気ですが、予防接種の効果は抜群ですので、辛い思いをさせないためにも、1歳のお誕生日が来たらすぐに受けて下さい。
なお、現時点では、麻疹と風疹を別々に受けた人は小学校入学前のMRワクチンは受けられない事になっています。ただ、明らかに不公平ですので、各方面からの抗議が相次ぎ、近い将来に変更になる可能性が高いと思います。
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■日本脳炎:この原稿を書いている時点では、日本脳炎の予防接種は延期された状態ですが、再開された場合には、3歳すぎたら日本脳炎をはじめの年に2回、翌年に1回受けましょう。日本脳炎は季節性の強い疾患ですので、夏直前(6月)に受けるのがベストです。冬に受けるのは、ワクチンの効果が持続する期間を考えると避けるべきでしょう。 |
■何らかの理由で遅れてしまった場合は、できるだけ早く対応を相談して下さい。色々なケースがありますので、ここでは詳細に触れませんが、遅れたことによるマイナスをカバーするのには対応が早ければ早いほど有利です。 |
■予防接種を受ける時間は、午後二時頃までがベスト。私の診療所では、午後の一時から二時に限定して行っているのには訳があります。まず「予防接種は一般外来とは分けて行うこと」となっています。これを無視して行った場合には、副反応が起きた時などに国の保証が受けれられない可能性があります。そこで、一般外来とは別に午後の早い時間を予防接種の専用時間帯とし、一般外来の患者さんは原則として受け付けない様にしています。待合室を別にすればもっと時間帯を広げることは可能ですが、空気感染の感染症では、単に待合室を別にしただけでは不十分ですし、感染症の患者さんを診察した聴診器や白衣でそのまま予防接種を行うことは好ましくありません。また、予防接種後の副反応のうち、重篤なものは数時間以内に起きる可能性が高いので、接種を受けて万が一具合が悪くなっても診療時間内であれば、迅速な対応が可能です。さらに、万が一の時に対応を依頼する可能性のある入院設備のある後方病院も夕方以降は手薄になっております。そのような不利な条件で予防接種をすることは避けるべきでしょう。また、予防接種はどこで受けても同じではありません。お子さんの事を良く知っているかかりつけ医、予防接種の経験が豊富で、製剤の改良などの情報に明るい専門医が望ましい事は言うまでもありません。 |
■午後の平熱 予防接種を受ける午後一時頃の体温を普段から何度か測って知っておいて下さい。一般的に午後の体温は朝の体温よりも高く37℃前半というお子さんも結構いらっしゃいますので、普段通りなのかどうかの判断ができるように午後の平熱を知っておく事は非常に大切なことです |
安達医師会管内では、麻疹の小流行が時々見られておりますが、麻疹に罹患するのは、予防接種を受けていなかった方がほとんどで、ある小学校の流行では、その学年で麻疹の予防接種を受けていなかった児童7名中6名が麻疹に罹患しました。また私の診療所でも、6人兄弟が麻疹の予防接種を受けていた1人を除いて、全員が次から次へと麻疹に罹患しましたが、この様なケースを経験すると予防接種の必要性を痛感します。 |
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