土川内科小児科ニュース 3月号 No.2 (もどる)
今月のテーマ:花粉症今年も、まもなくいやな花粉症の季節がやってきます。今年の花粉予報は昨年の3〜4倍と予想されているようです。そこで今月は花粉症をとりあげてみます。
花粉症は植物の花粉に対するアレルギーが原因で起こる疾患です。日本人の約十二%前後にみられるといわれるスギ花粉症が有名ですが、ほかにひのきやイネ科の雑草、キク科の雑草に対するものなどがあります。
スギ花粉症の方は5月の連休明けぐらいまで、ヒノキ花粉症もある方は5月いっぱい、イネ科の花粉症の方は秋までとなかなか大変です。花粉症の診断では風邪との区別が問題になりますが、症状から区別する方法としては、鼻水の他に目のかゆみを伴って、毎年同じ頃に症状がでる場合は花粉症の疑いが濃厚です。喉や鼻の奥の痛みはどちらの場合でも見られますが、発熱・咳などの症状は花粉症では見られませんので、鼻水の他に咳を伴う場合などは、風邪の可能性が高くなります。しかし、正確に診断するためには、血液検査が必要で、スギやヒノキなどに対する抗体ができているかどうかを調べます。花粉症ではないかと思う方で、まだ一度もこの検査を受けていない場合は、一度調べることをお勧めします。診断が確定することで、治療がしやすくなります。
次に花粉症の治療についてですが、現在のところ、花粉症はまだ完全に治すことはできません。しかし、症状をコントロールすることは、かなり容易にできるようになりました。花粉症に使う薬には、大きく分けて、症状を出さないようにする薬(予防薬)とでてしまった症状をコントロールする薬(対症療法薬)の2種類があります。シーズン中は予防薬で症状を予防し、症状がひどいときは対症療法薬を服用するというのが一般的です。予防薬には約1ヶ月前から服用しないと効果が期待できないという気の長いものもありますが、1ヶ月前から服用したからと言って必ずしも効果が期待できるとは限りません。そのため、当院ではこの種類の薬は使っておりません。1ヶ月も服用してもらいながら効果がでないなんて、申し訳ないことだと思うからです。しかし、当院で使っている予防薬でも、安定した作用が見られるまでには、十日前後かかると考えてください。目薬も今までは1日4〜6回のものだけでしたが、長時間作用型のものも開発されて一日2回で予防できるようになりました。また、花粉症の薬は一般的に眠くなる副作用を持っているものが多いのですが、ほとんど眠気のでないものも何種類かありますので、薬を服用すると、眠くてたまらないという方は、その旨ご相談ください。また、現在処方された薬では症状がうまくコントロールできない場合も、あきらめずにその旨お話ください。いくつかの方法の中からきっとコントロールできる方法が見つかるはずです。
何十年か先には花粉症を完治させることができるようになるかと思いますが、それまではお互いがんばって花粉症のコントロールにつとめましょう。★二月頃の新聞で、花粉症の薬の一つに重篤な副作用の見られたことが報道されていました。当院ではこの薬は以前より使っておりませんので、ご安心ください。(トップへ)