土川内科小児科ニュース  4月号  No.3 もどる

  
今月のテーマ予防接種

 二本松では桜の便りはまだですが、今年ももう四月。新しい年度がスタートします。予防接種も今月から平成九年度のスケジュールになります。そこで、今月は予防接種を取り上げてみます。専門医からみた予防接種の上手な受け方を解説してみます。

改正された予防接種とは

「平成五年十二月、東京高裁から出された予防接種訴訟に関する判決を受けて、平成六年十月に予防接種に関する法律が改正されました。この改正の結果これまでは予防接種を受けさせることが「親の義務」だったのが、今度は「親の判断」で予防接種を受けることになりました。また、集団接種ではなく、いつも診てもらっているかかりつけ医による個別接種を基本とすることになりました。その方が、予防接種による副反応の頻度を少なくできるからです。
 問診票に基づいて、子供の体質やその日の体調を判断し、予防接種を受けても大丈夫かどうかを判断し、保護者の同意を得て実施することとなったわけです。
 ワクチンの改良などにより、予防接種の副反応が減ったとはいえ、わずかながらですが重篤な副反応がみられるケースもありますので、安易に考えず、予防接種のてびきをよく読み、問診票もよく注意して書いてください。予防接種はどこで受けても同じではありません。子供さんのことをよく知っているかかりつけ医で受けるのがベストです。その際、専用の時間帯を設けているか、質問に親切に答えてくれるか、などを参考に、その先生が予防接種に熱心な先生かどうかを判断してください。また、お母さんが風邪などを診てもらうついでに受けることなどのないようにしたいものです。お母さんが風邪をひいてしまったようなときには、子供さんにもうつっているかもしれません。

予防接種の知識

ポリオ(急性灰白髄炎)
 この予防接種は集団接種です。六週以上あけて二度受けますが、一回ずつ独立していますので、間隔は開いてしまっても問題ありません。日本ではこの病気はほとんどみられなくなりましたが、外国ではまだなくなっていませんので、きちんと受けておいてください。下痢をしているときは受けてはいけません。この予防接種による発熱などの副反応はありません。

ツベルクリン反応・BCG
 二本松市などでは、今年から個別接種になりました。生後三ヶ月目から受けられます。結核も減ったとはいえ、なくなったわけではありませんので早めに受けてください。ツベルクリン反応は、多少具合が悪くても受けられますが、抗アレルギー剤などを服用中は反応が抑えられる可能性がありますのでさけてください。。BCGは接種の仕方により陽転率に差がでますので、私も特に注意して行っています。接種後しばらくして膿をもったかさぶたができることがありますが、これはうまくいった証拠ですので、心配ありません。

三種混合ワクチン
 このワクチンは、ジフテリア・百日咳・破傷風の三種類のワクチンをまとめて受けるものです。生後三ヶ月から受けられます。間隔が開いてしまうと十分な効果が期待できませんのでこの予防接種は間隔が大切です。初回免疫は三週から八週間隔で三回受けます。二回目と三回目の間隔が六ヶ月すぎてしまうと、三回目は受けられなくなってしまいます。受ける価値がなくなってしまうからです。同様に一期追加も、離れてしまうと十分な効果がなくなってしまいますので気をつけてください。離れすぎても、もう一度はじめからやり直すことはできませんので、気がついた時点でできるだけ速やかに受けてください。このワクチンは沈降ワクチンですので、接種部位に小さなしこりが一〜二ヶ月残りますが自然になくなりますので心配いりません。

はしか(麻疹)ワクチン
 麻疹は一歳になると受けられます。麻疹のワクチンも昨年暮れにゼラチン抜きの副反応のより少ないものが開発されました。予防接種で一番怖いのは添加物のゼラチンによるアナフィラキシー様反応でしたので、これで私はだいぶ気が楽になりました。麻疹は実際にかかると半分位は入院治療が必要となる比較的重い病気ですので、早めに受けておきたいものです。接種後七日以降に軽く麻疹の症状がでることがあります。風邪気味の時にうけると十分な効果が得られないことがありますので、気をつけてください。

風疹ワクチン
  風疹は、子供がかかった場合、あまり重い疾患ではありませんので、あわてて受ける必要はありません。麻疹同様風邪気味の時には受けないでください。このワクチンもゼラチン抜きの製剤があり、当院では以前よりそれを採用しています。

日本脳炎ワクチン
 三歳になると受けられます。このワクチンも三種混合ワクチン同様、間隔が大切です。間隔があきすぎた場合、十分な免疫を得るためにははじめからやり直さなければならないこともあります。一期初回は一週間間隔で二回、一期追加はその一年後に一回です。日本脳炎は夏に流行する疾患ですので、この予防接種はその前(六月まで)に受けておくことが大切です。

チェックポイント
 予防接種は三七度以上の熱があると受けられないことがあります。午後の平熱は、朝よりも高く、三七度前半の子供さんもおりますので、午後一時半頃の体温を二〜三日測り、午後の平熱を知っておいてください。
 風邪のひきはじめは、特に接種をさけてください。逆に二〜三週前から鼻水だけというような場合は受けられることが多いので、接種が遅れているようなときはご相談ください。(トップへ