土川内科小児科ニュース  8月号  No.7 もどる

  今月のテーマ:夏に多い病気


 
ようやく梅雨(今年は暑い日多かったですね)もあけて夏本番。毎年夏になると決まってはやる病気がいくつかあります。今回はそのような夏に多い病気を特集してみます(食中毒は先月特集しましたので除きました)。

 「手足口病」 その名の通り手のひら・足の裏・口の中に小さな水ぶくれができます。お尻もよく出る場所ですが、体にできることはありません。乳幼児に多く、潜伏期は3〜6日です。熱は出ないか、出ても微熱程度です。手足の水ぶくれは痛がりませんが、口内が痛くて食べられなくなることがあります。ほとんどの場合、自然に治りますが熱や口内の痛みがひどいときはお薬を処方します。手足の発疹は特に治療を必要としません。口内を痛がるときは、食事の内容に注意し、水分補給に努めてください。お風呂は熱が高くなく元気なら入ってかまいません。問題は保育所などを休ませなければいけないかどうかです。この病気はコクサッキA群ウイルスやエンテロウイルスが原因で、咳やくしゃみによる飛沫感染と便を介した接触感染により伝染しますが、患者さんの咽頭からは2週間、便からは3〜5週間もウイルスが排泄されますので、発疹が消えてもまだ人にうつす力はなくなりません。あまりにも長期間伝染力を有することと症状が軽いことから、この病気は隔離不要となっています。でも口内に発疹がある時期は伝染させる力が強いですし、痛みで辛いのでお休みする方がいいと思います。ごくまれに無菌性髄膜炎や心筋炎を合併することがあります。

ヘルパンギーナ」コクサッキーA群ウイルスが原因。咳やくしゃみで飛び散り、それを吸い込んで感染します。潜伏期は3〜5日です。この病気も乳幼児の間で流行する夏風邪の一種で、38〜40℃の高熱が2〜3日続き、のどの奥に小さな水ぶくれができるのが特徴です。口内の潰瘍も1週間位でよくなりますが、痛くて食べられないことが多いので、軟らかいものや味の薄いものを少しずつ与えるようにし、脱水症を起こすのを防ぐために水分の補給を十分にして下さい。水分すらとれないときには点滴が必要となることがあります。

 「プール熱」正式には咽頭結膜熱といい、アデノウイルスにより引き起こされます。プールで感染することが多いことからこの名前がつけられました。赤ちゃんには少なく、幼児から小学生に多くみられます。39〜40℃の高熱が4〜5日続き、喉の赤みと痛み、目の充血が特徴です。頭痛、吐き気、腹痛、下痢を伴うこともあります。治療は通常の風邪の時と基本的には同じです。 

伝染性膿痂疹(とびひ)」この病気は、細菌が原因です。虫さされ・あせも・すり傷などジュクジュクしているところに、ぶどう球菌などの化膿菌が感染すると起こります。かゆみのある水疱ができ、破れるとかさぶたを作ります。かゆいのでかくと菌が飛び散って水疱があちこちにでき、その広がり方が飛び火みたいなので「とびひ」という名前でも呼ばれます。治療は患部をよく消毒し、抗生剤入りの軟膏を使います。ひっかくことで広がりますので患部はガーゼでおおう様にします。ひどい時は抗生剤の内服を併用します。治るまではプールはさけてください。お風呂はシャワーでしたらOKです。

 「汗疹(あせも)

汗の出てくるところ(汗腺)がつまり、汗が外に出られずにたまってしまったものがあせもです。ひたい・首の周り・胸・背中など汗のたまりやすいところに小さくて赤いぶつぶつができます。通常は赤いあせも(紅色汗疹)ですが、色のついていない白いあせも(白色汗疹)もあります。1日2〜3回お風呂に入れ、よく汗をながして皮膚を清潔にし、涼しい環境にしてあげれば数日で治ります。なかなか良くならない場合には、塗り薬を使うこともありますが、あせもは治療より予防です。

 「虫さされ」蚊・ブヨ・ノミ・ダニなどに刺されたり、かまれたことが原因でかゆみや痛み、発赤・はれなどの症状がでます。はれは翌日の方がひどくなることもあります。。刺されたところを石けんと流水でよく洗い、抗生物質入りのステロイド軟膏を塗るのが一番です。大きい蜂に刺された時は、時にショック症状を起こす危険性もありますので、できるだけ早く医療機関を受診してください。

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