土川内科小児科ニュース 1月号 No.12 (もどる)今月のテーマ:新年のご挨拶
あけましておめでとうございます。
お正月、いかがおすごしでしょうか。今年もよろしくお願い致します。お正月早々暗い話になってしまいますが、昨年来医療を取り巻く情勢は、皆様にとっても、我々医療機関にとっても厳しくなる一方です。保険財政の破綻がその引き金になっていますが、破綻するべくして破綻したといえる現行の社会保険制度が、根本的に改善されない限り、この問題は解決されません。問題の先送り的な表面上の改革におわらないことを望みたいと思います。
ところで、昨年暮れのポケモン騒動ですが、幸い福島県は放送内容が遅れていたようで、被害に遭われた方は、ごく一部の東京圏のテレビを見ていた方だけだったようです。マスコミなどの報道ですでにご存じの方も多いかと思いますが、この問題に関する情報を簡単にコラム欄でご紹介致します。放送する側でも今まで以上に気をつけると思いますが、いつ皆さんの子供さんがそのようなトラブルに巻き込まれないとも限りませんので、是非ご一読をおすすめ致します。
また、香港で発生した新型インフルエンザも患者さんの数が増えて来ており、一部の報道では新春にも日本に上陸、もし上陸すれば3200万人が罹患し、3万人が死亡するのではないかとか。しかしこれは公式の見解ではありません。しかし、ワクチンの供給には最低4ヶ月が必要といわれており、この先香港で感染者が増え、ヒトからヒトへの感染が証明されると一気に危機感が高まります。この新種のウイルスの型はH5N1で、今まで日本では確認されていません。当然だれもかかった事がないのですから、免疫を持っている人はいないわけです。参考までに厚生省の発表しているこの新型インフルエンザに関するQ&Aの一部をコラム欄に掲載します。インフルエンザの予防に関して一般的にいわれている注意点は、@過労や睡眠不足をさける。A十分な栄養と休養をとる。Bうがい、手洗いを励行する。C人混みをさける。Dマスクを着用する。といった事です。いずれも決定的な対策とは言えませんが、気は心、励行したいものだと思います。この他、インフルエンザウイルスは一般的に湿度を嫌いますので、十分な加湿が効果的です。マスコミの報道は、この厚生省の発表などを元にしてい る訳ですが、記事の書き方により、受け取る側に違った印象を与える可能性があります。最近はインターネットにより簡単に誰でも厚生省の発表そのものを見ることができますので、是非ご自身で、実際の発表内容を確認する事をおすすめします。情報社会の中でいきる我々は、情報に踊らされることなくそれをうまく活用していくことが大切です。なお、この厚生省の情報は12月23日にアクセスして得られたものです。その後更新されている可能性があることをお断り致します。
このところ、えっと驚くようなニュースばかり、慣れっこになってしまいそうなくらいです。今年は、そんな暗いニュースが少ない年であってほしいと思います。
コラム1:テレビ番組視聴による健康被害への対応について(厚生省)
今回発生した事例について、詳細は調査してみなければ不明であるが、次のようなものが考えられる。
- 光感受性発作の場合:光感受性発作は、画面のちらつき、図形の変化、反復する閃光などの刺激によって誘発される発作であり、全身のけいれん発作などの症状を呈するものである。
- その他の場合:閃光刺激、素速く動く色模様、強烈な図形反転などのスクリーン映像を長時間にわたって凝視していると、眩暈、嘔気、冷汗、動悸などの徴候を自覚する事がある。これらの徴候・症状は急に起始し、数分の間に消退するものであれば、必ずしもてんかん発作ではない。
「参考」 光感受性発作について
- 概要:1970年にテレビ視聴中に発作を起こす患者が増加しているという報告が紹介されたのを契機として、1981年にはテレビゲームによって誘発された可能性のある発作症例が散発的に英米の医学誌に報告されるようになった。我が国においては、1987年にてんかん学会において発作症例が報告されている。閃光や光の点滅で発作が起こるものを光感受性発作と呼び、発作誘因として画面のちらつき、図形の変化といった光の感受性の異常、図画面上の物体を追う眼球の動きなどが考えられている。閃光刺激周波数は、15ないし20ヘルツにある。刺激から発作までの潜伏時間は短く、スクリーン注視後にまもなく発作が起こることが多い。
- 発生頻度:4000人に1人の割合とされる。女性で多く、幼児、学童期が好発年齢とされる。
- 診断:脳波検査が不可欠であり、反復閃光刺激などの手段によって脳波上光感受性発作をとらえることが必要である。
- 予防手段:テレビ画面から十分な距離をとる、部屋を明るくするなどの方法がある。治療:発作を繰り返すような場合には、抗てんかん薬の服用が必要となる。
- 予後:良好なことが多く、日常生活上の注意を守り、定期的な脳波検査を施行することで、再発を予防することができる。
コラム2:Q&A 香港で見つかった新型インフルエンザ(H5N1)抜粋
- Q1:これまで、何人の患者からこの新型インフルエンザウイルスが見つかっているのでしょうか?
- A1:12月19日現在で、8名がH5確定、2名が検査中です。
- Q2:このウイルスは世界中に大流行するでしょうか?
- A2:新型インフルエンザに対して、ヒトは全く防御のための抗体を持たないため世界中で大流行が起きる可能性があります。しかし、これまでのところごく少数の発生にとどまっています。
- Q4:この新型インフルエンザはどのような症状を起こすの?
- A4:現時点では8例しか発症事例が確認されておらず、その危険性や症状について結論を出すことは困難です。
- Q6:今冬のワクチン接種は?
- A6:厚生省では国立感染症研究所に依頼して毎冬の流行予測を行い、それに基づいてワクチンを製造しています。今年はA香港型、Aソ連型及びB型を2種類入れたワクチンが製造されています。インフルエンザの予防はワクチンが基本です。高齢者や基礎疾患を有する方には、医師に相談のうえワクチン接種をお勧めします。
- Q7:今冬のワクチンは新型インフルエンザにも有効ですか?
- A7:インフルエンザワクチンはウイルスの型が一致してはじめて効果があります。今年のワクチンには新型インフルエンザに対するワクチンは入っていないため、これを接種しても効果はありません。新型インフルエンザの予防には新型インフルエンザのワクチンを接種する必要があります。
- Q8:新型インフルエンザのワクチン製造は開始していないの?
- A8:現在新型インフルエンザウイルスのヒトーヒト感染は確認されておりません。このため引き続き流行の可能性を調査し、監視を行うとともに、新型インフルエンザワクチンを製造するためのウイルスの分析を開始するなど新型インフルエンザワクチン製造に向けて準備を進めているところです。
- Q10:鶏肉を食べた場合、インフルエンザに感染することはありますか?
- A10:食品を食べることにより、インフルエンザウイルスがヒトに感染することは世界的にも報告されておらず、一般的には考えられません。また、鶏肉を処理する過程で、塩素剤を使用しております。これによりたとえ、インフルエンザウイルスが鶏肉に付着していたとしても不活性化します。さらに、実際に食べる場合には、加熱すればインフルエンザウイルスは死滅しますので、鶏肉を食べることによりインフルエンザに感染するとは考えられません(注:卵についても同じ内容の答えです)。
- Q12:香港へ観光旅行へ行っても問題ありませんか?
- A12:現段階では、新型ウイルスへの感染は小規模であり、世界保健機関(WHO)は渡航自粛の必要はないとしています(後半略)。
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