土川内科小児科ニュース  3月号  No.13 もどる

  今月のテーマ:ホームケアー2 嘔吐・下痢

 冬になるとロタウイルスが原因で、白い下痢便が特徴の乳児冬季下痢症が流行します。そこで今月は、下痢・嘔吐が見られたときの対処法にスポットを当ててみました。下痢や嘔吐の対処方は子供も大人も一緒です。ですからここに解説した内容は家中で、共通して使えますので、是非参考にして下さい。

下痢について
下痢は、ウイルス性胃腸炎や細菌性腸炎などの時に見られる症状で、食べたものが腸で十分吸収されずに出てしまう状態を言います。便の色からもいろいろなことがわかります。ロタウイルスが原因の冬に多い下痢症では、白い便が特徴です。また細菌性腸炎では、血液がまじることがあります。O157による下痢では、血液そのものといった赤ワインの様な便が見られると言われています。下痢の時には便をよく観察し、血便が出たときや便の様子が変なときには便を持参して下さい。

下痢の時の食べ物(乳児)
母乳をあげている場合はそのまま続けてかまいませんが、下痢のひどい時は、授乳を短時間で切り上げて、その分回数を多くしてください。ミルクをあげている場合は、ミルクをできるだけ(できれば1/2)薄めて下さい。あまり薄くすると味が変わってしまい飲んでくれなくなりますので要注意です。下痢が良くなってきたら、1/2→2/3→ふつう、と濃くしていきます。乳糖をふくまない下痢治療乳(ラクトレス・ソーヤミル・ボンラクトなど)を使っても、もちろんOKですが、下痢が2週間以上も続いている様な場合でなければ、そこまでしなくても大丈夫だと思います。離乳食を食べていた子の場合は、下痢のひどいときは、アクアライトなどのイオン飲料・番茶・野菜スープ・味噌汁のうわずみ・リンゴのすりおろしなどを与えます。いままであげたことのないものは避けて、離乳の段階を1つ前にもどすのが無難です。下痢がよくなってきたら、豆腐・パン粥・おかゆ・うどん・白身魚などを便の様子をみながら慎重に加えていって下さい。

下痢の時の食べ物(乳児) 
何を食べるかは便と相談して決めます。水のような下痢の時は、アクアライトの様な子供用のイオン飲料・番茶・野菜スープ、味噌汁・おもゆ・リンゴのすりおろしなど水分を中心に。ドロドロの便の時は、上記の水分のほかに、豆腐・パン粥・ベビーせんべい・ウエハース・バナナの裏ごし・人参やかぼちゃの煮つぶしなどを。やわらかい便の時は、さらにおかゆ・うどん・白身魚の煮付け・卵・鳥のささみ・野菜の煮付けなどまであげても大丈夫でしょう。

下痢の時の避けた方がよい食べ物
冷たいもの・刺激のつよいもの(コーラー・サイダーなどの清涼飲料水、アイスクリーム、牛乳、コーヒー、アルコール、香辛料など)、脂肪の多いもの(牛乳、肉、バター、脂身の多い魚、揚げたものなど)、砂糖分の多いもの(ケーキ、お菓子、アイ  ス、カステラ、ヨーグルト、プリン、ジュース、果物、大人用のイオン飲料など)
  
スキンケアー
下痢をしているときは、おむつはいつもよりこまめに取り替えて上げましょう。また、おしりは、ふくのではなく、洗面器などにお湯を入れて洗い(座浴)、その後、柔らかいものでそっと押さえるように水分をよくふき取って、乾燥させることが大切です。それでもおしりがただれてきたときは、軟膏をもらって早め、早めのお手入れを心がけてください。


家庭で特に気をつけること
便が多少ゆるめで回数が多くても、食欲があり、機嫌も良いときはあまり心配いりません。下痢でこわいのは脱水症ですから、水分を中心に上手に管理してあげましょう。水分補給が一番大切!。水分を多く飲むから水っぽい便になるのではありません。下痢で水分が失われるので水分を飲ませることが必要なのです。水分が十分とれずに、下痢が続くときは点滴が必要になることもありますので、はやめに受診して下さい。  




嘔吐について
下痢と同じく嘔吐も家庭での対処が大切です。「何度も吐くんです」と言って受診する患者さんの中に、吐いては飲ませ、また吐かせというケースが時にみられます。

吐いたらみんな病気?
嘔吐は風邪や胃腸炎の時にみられる症状ですが、赤ちゃんの場合胃の入り口をしめる筋肉の発達が未熟ですので、咳やミルクの飲み過ぎでも吐くことがあります。吐いても一度きりで、機嫌が良い場合は心配ないことが多いのですが、何度も吐く場合や下痢を伴っている場合、顔色が悪い場合は、治療が必要です。

嘔吐のケアーのポイント
繰り返し吐かせないことです。吐き気が強いうちは、胃にものが入るとまた吐いてしまいますので、最低でも1時間、通常2〜3時間は絶飲食にします。吐き気がおさまったようならまずスプーン一杯の水分を与えてみます。30分様子をみて大丈夫なら次は1口(10ccくらい)、また30分様子をみて大丈夫なら今度は2口、と少しずつ与えていきます。途中で、吐いてしまったら、絶飲食からやり直します。このとき、与えて良い水分とは、アクアライトなどの子供用のイオン飲料、番茶、白湯などです。コップ一杯の水分を吐かなくなったら、下痢の時の食事に準じて消化のよいものを少しずつ、与えるようにします。

咳で吐いてしまう
この場合の嘔吐には吐き気止めはききません。咳が鎮まるのを待つしかありませんが、咳止めを飲んで、消化の良い食事をいつもより少な目にすることで、せき込んで吐く回数を減らすことができるはずです。


家庭で気をつけること
吐き気の対処法は
少量頻回!。これがポイントです。アクアライトのようなイオン飲料を少しずつ与えることを「経口輸液」と言います。普通の点滴は輸液の一種ですから、経口輸液とは口の中に点滴するようなものです。点滴の速度はみなさん、よくご存じだと思います。あの点滴の速さをイメージして「少しずつ与える」これがうまくやる秘訣です。しかし、いくら上手にやっても、嘔吐がおさまらない時もあります。そのような時は、点滴が必要かも知れませんので、早めに受診して下さい。


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