土川内科小児科ニュース 8月号 No.19 (もどる)今月のテーマ:夏特集
●今年はまだ梅雨が明けないそうで、早くしないと夏がおわってしまいそうです。、皆さんはもう、海や山へお出かけになりましたでしょうか。日本には四季がせっかくあるのですから、夏は夏の暑さを利用して楽しくアウトドアーライフと行きたいですね。そこで、今月は、夏を満喫する上で役に立つ医学知識を集めてみました(日医ニュース 健康プラザを参考にさせていただきました)。
●日焼け
こんがりと焼いた肌って魅力的ですね。子供の頃には色の黒さを自慢しあった事を思い出します。海岸で甲羅干しと言うのも海へいく楽しみの一つです。でもちょっと待って下さい。日焼けって、皮膚ガンのもとだって知っていましたか。1年のうちで5月から8月は紫外線の量がもっとも多くなる季節です。紫外線には、波長の長い長波長紫外線(UVA)と波長の短い中波長紫外線(UVB)がありますが、日焼けは主にUVBの仕業です。この紫外線(特にUVB)は、シミやしわといった皮膚の老化(光老化)を引き起こすだけではなく、遺伝子の本体であるDNAを傷つけるため皮膚ガンの原因となることがあるのです。通常この傷はほとんど元通りになおされますが、いつもうまくなおされるとは限りません。時に間違い(突然変異)が起こるのです。子供の頃からの繰り返される日焼けで、突然変異が蓄積されていき、60歳を過ぎると皮膚ガンになることがあります。この日焼け対策は日傘や帽子で直射日光をさけ、海などへ行くときには女性に限らず子供も男性も日焼け止めのクリームを使うことが大切です。最近の商品には、日焼け防止指数(SPF)が表示されており、きちんと使えばか なりの効果が期待できます。念のため、わかっているけどついつい焼いてしまったという時の対処法について触れておきます。日焼けは正式には日光皮膚炎と診断されて立派な皮膚の病気です。日焼けは皮膚の炎症ですから、まず、できるだけ十分に冷やす事が大切です。水で濡らしたタオルをまめに替えるのが効果的です。抗炎症作用をもつローションの使用もよいでしょう。入浴や飲酒は炎症を悪化させるのでいけません。ひどい日焼けはやけどと同じです。翌日になっても改善しない時や紅斑や水疱の程度が激しい場合には医療機関を受診してください。転ばぬ先の杖、予防が大切です。
●エアコンと温度管理
昔は扇風機が中心でしたが、今はエアコンが会社はもちろんのこと一般の家庭でも活躍するようになり、夏でも快適に過ごせるようになりました。一方、私たちの体は、特に意識をしないでいても汗をかいたり鳥肌を立てたりして、環境の変化に自然と対応しています。この働きは恒常性機能と呼ばれて自律神経が担当しています。しかし、暑い戸外と涼しい室内を行ったり来たりしているとこの機能がくるってしまい、うまく働かなくなって、体(特に腰から下)がだるい・頭痛がするなど様々な体の不調を訴えるようになります。一般に冷房中の室内は外気温より5〜7℃位低めが適当と言われていますが、暑いとついもっと低い温度に設定してしまいます。同時に除湿して湿度を下げてやると不快指数も下げることができ、室温が26℃でも湿度が50%であれば不快指数は不快さの少ない状態(不快指数75)に保てると言われております。真夏でもエアコンの設定温度は下げすぎない様にしたいものです。また、外へ出るときには体を慣らしてから、寝るときには冷房をかけっぱなしにしないなどの点にも注意して下さい。
●プールと病気
- プール熱:夏にプールを介して学童の間に流行する事が多いことからプール熱と呼ばれていますが、正式にはアデノウイルスの接触感染が原因でおこる咽頭結膜熱という病気です。のどと目が真っ赤になり高熱が出ます。潜伏期は5〜7日。伝染期間は潜伏期後半〜症状が消失するまで、学校保健法により登校停止期間が主要症状がなくなってからさらに2日と決められています。
38〜39度の熱が4〜5日間続き、食欲不振、咽頭炎によるのどの痛み、結膜炎のため目が真っ赤になり目やにがでるなどの症状が主体です。はきけ・腹痛・下痢・咳などが見られることもあります。特別な治療法はありませんので、対症療法(症状を抑える治療)が中心となります。風邪の時と同じように家の中で静かに過ごし、脱水症に気をつけ、十分に水分を与えて下さい。伝染力が強いので、タオルを共有しないなど予防にも努めて下さい。- 手足口病:この病気は夏風邪の一種で、先月号のコラムで取り上げましたが、手足や口内の皮疹が消えた後でも、さらに便から2・3週間ウイルスが排泄されます。本人はいたって元気なのに病気をうつすからプールはダメと言うのはちょっとかわいそうです。このウイルスは、きちんと管理されたプールでしたら塩素によりウイルスは死滅しますので、手足と口中の発疹が消えたらプールへ入っても大丈夫だと思います。また家庭のプールですが、入る前にお尻を洗ってあげれば大丈夫でしょう。ただ、汲み置きしたビニールプールの水は翌日には塩素濃度はもはや役に立たない位の状態になっておりますので、衛生面を考えますと毎日入れ替える事が望ましいと思います。
- 伝染性軟属腫:俗に水いぼと呼ばれています。以前は水を介してうつると言われておりましたが、最近ではその意見に否定的な立場のドクターが増えて来ているようです。水そのものよりも、タオルなどの直接的な接触で伝染する可能性が高い様です。とはいえ、ない方が良い事には違いがありませんので、早めに治療しておきたいところです。水いぼの治療は、ピンセットでむしりとるためとても痛いものですが、硝酸銀を塗布する方法などもありますので、一度医療機関でご相談下さい。
プールアラカルト (大阪府医師会のページから、一部改変) 知 識 最適温度28℃、許容酸・アルカリ度pH5.8〜8.6、残留塩素0.1〜0.5ppm プール診断 水が緑・臭う・壁面がヌルヌル=藻の発生
目がチカチカする=塩素の過剰
水面がギラギラする=ボディオイルの浮遊
水が茶色=錆の流入
水全体がヌルヌルする=水のアルカリ化最小限のマナー 入る前には必ずシャワーを浴び洗顔する
プールの周りを走らない
ボディオイルを塗ったままで入らない
防水でも腕時計はダメ
飛び込みは周囲に人がいない時トラブルあれこれ 水泳肩=クロール・バタフライなどで起こる肩の筋肉痛
平泳ぎ膝=平泳ぎ愛好者に多い膝関節部内側の痛み
頸椎損傷=浅い所での垂直飛び込みなどで起こる
溺水(できすい)=浅くても起こるトラブル、すぐに水から出して救急蘇生法
こむらがえり=あわてないで、すぐに助けを求めるマスターズ大会 中高年水泳キーワード マ:マイペース悠々大きなストローク
ス:進んで受けようメディカルチェック
タ:タイムより楽しい水泳健康づくり
ア:頭を使って泳ぎの研究
ズ:ずっと前の若さと力、当てにせず
●今月は、夏を快適に過ごすために役に立つ医学知識を中心に取り上げてみました。皆さん、元気に夏を乗り切って下さいね。
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