「熱さましの使い方」

熱がでたから、熱さましを使わなければいけないなどと言うことはありません。風邪の熱だけで脳に障害が残ることはありません。熱にはウイルスの増殖を押さえ、抗体を作る働きがありますので、熱さましはそのじゃまをしてしまうことになります。熱さましを使うと発熱日数が長引くという報告もあります。ですから、熱さましは、38℃以上でつらそうにしていたら使ってあげても良いですが、38℃以上でもケロッとしているような時は使わなくても大丈夫です。熱さましには、病気を治す力はなく、一時的に熱を下げるだけの働きしか持っていません。熱が高い事=重症とは限りませんので、熱を下げることばかりに気を取られないようにしましょう。また、熱さましは種類によって多少違いますが、使っても一日2〜3回までが原則ですので、最低でも6〜8時間くらいあけて使うようにしてください。

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「座薬は強い?」

ときどき、熱さましで「座薬はつよいので・・・」ということを耳にします。座薬だから強いということはありません。同じお薬を同じ量使えば、飲み薬も座薬も効き目は同じです。ただ、座薬の中には飲み薬の2回分をまとめて1回分として使うように作られているものもありますので、強いという印象を与えるのかもしれません。吐き気を伴っているときには座薬を使い、下痢の時や座薬をきらう子の場合には飲み薬を使うのが良いと思います。座薬は量の調節が難しいが常備できるのに対し、飲み薬の場合は量はその子の体重にびったりの量で作れます。一方飲み薬の中で水薬は長くとっておけないなどそれぞれ利点・欠点がありますので、それぞれの特徴を生かした使い方が大切かと考えます。

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「風邪とおふろ」

「風邪をひいたらお風呂はダメ」というのが、昔は常識でした。でも、今は違います。風邪気味でも熱がなければお風呂に入ってかまわないのです。一日を通して37.5℃以下でしたら、湯冷めに気をつけてお風呂に入れてあげてください。お風呂の蒸気はのどに適度の湿り気を与え、皮膚を清潔にして新陳代謝を高め、さっぱりすることでぐっすり寝られるなどお風呂に入ることの利点が見直され、最近では「風邪気味=お風呂はダメ」という従来の考え方は否定されています。

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「くすりだけください」

時々、薬だけくださいといわれます。我々医師は、薬局ではありませんから、診療して処方するというのが原則です。薬局で売っているいわゆる大衆薬や置き薬は、安全性を重視して、比較的安全な作用の弱めの薬を少な目の量に処方してあります。一方、我々の使う薬は、作用が比較的強いものが多いので、所見を確認してから処方しないと、薬が合わなかったりすると逆に症状が悪化することもないとはいえません。また、重い病気を見逃すもとですから、診察を受けないで、薬だけというのは好ましくありません。まして、薬を飲んでいてもあまりよくならないときなどは、診察が必要です。

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「インフルエンザの予防注射」

インフルエンザというのは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる風邪の一種です。インフルエンザには、A型、B型、C型の3タイプがあり、A香港型、Aソ連型、B型などが有名です。普通の風邪に比べて症状が重く、寒気を伴った高熱が3〜5日続き、鼻水・咳などの症状に加え、筋肉痛・関節痛、嘔吐・下痢などの胃腸症状を伴うことが多いのが特徴です。インフルエンザの特効薬はまだ見つかっておらず、対症療法が中心となります。根本的な治療法がない以上、予防接種を受けておくのもいいのではないかと考えます。

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「風邪の予防」

冬に流行する風邪のウイルスは、湿度をあげるとそれだけで、死んでしまうことがわかっています。冬に風邪がはやるのは、空気が乾燥していることもその一因となっているわけです。ですから、お部屋を加湿することが、風邪の予防法として、もっとも有効な方法といえます。うがいや手荒いも有効と言われていますが、風邪のウイルスはのどに付着するとすぐに体内に進入しますし、空気中を飛んで伝染する飛沫感染ですので、どちらもあまり有効な方法といえません。ただ、イソジンは風邪のウイルスをやっつける力をもっていますので、イソジンうがい液でまめにうがいをするのは、比較的有効といえます。常識的なことですが、十分に栄養と睡眠をとり、無理をしないということも大切です。

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「おたふくかぜは前に一度やったのですが?」

おたふくかぜになんどもかかったということをときに耳にしますが、おたふく風邪も一度かかったら通常は二度とかからない病気の一つですので、間違っている可能性が高いと思います。おたふくかぜによく似た病気に「反復性耳下腺炎」というのがあり、この病気のときに、おたふくかぜと診断されることがよくあります。一般的に反復性耳下腺炎では、片側性で、はれも少ないことが多いのですが、厳密には抗体を測定しなければ、わかりません。ウイルスによる病気ではその病気にかかった後2〜3週間たつとその病気に対する抗体が体の中にできていますので、血液を調べることでその病気にかかったことがあるかどうかがわかります。繰り返し、耳の下がはれる場合は、おたふくかぜかどうかの確認をしていないとはれる度に学校を休まなければなりませんので、おたふくかぜの抗体をはかってみることをおすすめします。

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「風疹に2度なった」

風疹は非常に有名な疾患ですが、子供がかかった場合には、3日ばしかと言われるように約3日で治ゆします。ときどき、風疹に2度以上かかったという話を聞きますが、風疹は一度かかったら2度とかからない事が多い(絶対かからないと言うわけではありません)疾患ですので、ちょっと疑問です。このようなことがおこるのは、風疹のような発疹が体にでてくるよくにた風邪がほかにもあるのです。このような風邪ででてきた発疹を感冒性発疹とかウイルス性発疹と呼びます。ですから、2度以上風疹と診断された場合は、どちらかあるいはどちらも風疹でないかもしれないのです。もともと風疹などのウイルスによる病気は治ってから体の中に抗体ができているのを確認しないと、診断は確定しませんので、はっきりさせたい場合は、病気が治って2週間以上たってから、血液検査をして抗体を測ってもらってください。

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「タバコをたべたみたいなのですが・・」

 タバコは半分食べれば致死量と言われています。本当に半分以上食べていれば胃洗浄が必要です。しかし、多くの場合食べたように見えても、おいしいものではありませんから食べていないことが多いようです。また、実際食べていればゲーゲーと吐くはずです。食べてからの時間にもよりますが、吐きもせず元気にしているようなら大丈夫のことがほとんどですが、はっきりしないときやどうしても心配なときは救急センターのようなところを受診してください。それよりも、小さい子供さんがいる家庭では、子どもの手の届くところにタバコをおいてあることが、問題ではないでしょうか。


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「下痢の時の食事の注意について」

 まだ、乳飲み子の場合、母乳の場合は一回に与える量を減らしてください。ミルクの場合はできるだけうすめてください(できれば半分くらいまでうすめてほしいのですが、うすめすぎるとのまなくなりますので、のむ範囲でだきるだけうすく)。
 食事の内容は、消化の良い脂肪の少ないものにしてください。食事の内容は下記を参考にしてください(大人でもおなじです)。よく離乳食をやめてミルクにしていたということを耳にしますが、離乳食が十分食べれるのなら、ミルクより離乳食が下痢の時には好ましいので、ご注意ください。
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  下痢の時、好ましい食事       下痢の時、禁止するもの
   *野菜スープ・おろしたリンゴ    *コーラ・サイダー
   *うどん・パン・おかゆ       *牛乳・コーヒー
   *湯ざまし・うすい番茶       *牛肉・豚肉・ごはん
   *スポーツ飲料(冷たくしないで)  *ケーキ類・菓子・アイス
   *豆腐・卵・白身魚 
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「抗生剤は途中でやめてはダメ?」

 基本的には途中でやめるのはダメと考えて下さい。抗生剤、抗生物質というのは、基本的には細菌をやっつける、あるいは細菌が増えるのを抑える薬です。途中でやめてしまったり、飲んだり飲まなかったりでは、せっかくやっつけた細菌が再び勢いを取り戻してしまいます。更に悪いことには、こう言うことを繰り返していると、細菌がそのお薬に対する耐性(抵抗力)を獲得してしまい、お薬が効かなくなってしまいます。ですから、抗生物質は薬が合わないなどの理由がなければ、処方された量をほぼ時間を守り飲みきることが大切です。6時間毎などと指定されていることが多いと思いますが、細菌をやっつけるためには、血液の中の薬の濃度を一定に保つことが必要だからなのです。もちろん、寝ているときなどは、起きてからでOKで、時間が多少ずれても全く問題ありません。

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「赤ちゃんに市販の風邪薬をのませてもいい?」

 市販の風邪薬は、ほとんどのものが万人向けに効き目が穏やかで、副作用の少ない薬を安全を考慮して少なめの量で処方されています。また、鼻水・咳止め・熱さまし・痛み止めなど何種類もの成分が混ぜられているものも少なくありません。赤ちゃんの場合、お薬に敏感な体質かどうか分からないことも多く、できれば不必要な成分は飲ませたくありません。また、受診前にお薬を飲ませてしまうことで症状が修飾されてしまうこともあります。市販薬で様子を見ているうち、夜間に急に熱が高くなることはよく経験するパターンですし、赤ちゃんや子供は急に症状が悪化することが少なくありませんので、市販薬で様子を見ようは感心しません。夜間や休日に「どうしてもっと早く連れてこなかったの?」というせりふは日本中の小児科で聞かれているのではないでしょうか。「はやめ、はやめ」が子供の病気の合い言葉です。 

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「急な発熱、市販の熱さましを使ってもいい?」

 できれば、かかりつけの先生から不意の発熱用に熱さましをもらっておいて下さい。座薬であれば形が崩れていなければ、1年ぐらい前のものでも問題ありません。但し、体重がかなり増えた場合は、あまり効かないかもしれません。さて、不意の発熱で市販の熱さましを使いたい場合には、その熱さましの成分(一般名)を確認して、次の様な点に気をつけて下さい。なお、3カ月未満では、原則として熱さましは使ってはいけません。

  • アスピリン:長年にわたって使われてきた非ピリン系解熱剤の代表選手です。このお薬の場合、インフルエンザや水ぼうそうの時に使うとライ症候群(急性脳症と全身臓器の脂肪沈着と特徴とする疾患です)というこわい病気を起こすことがあると言われています。インフルエンザも水ぼうそうも発熱が初発症状のことがありますので、気をつけて下さい。
  • アセトアミノフェン:これも非ピリン系の熱さましで、効き目はややマイルドですが、一番安全な熱さましと言われています。1歳未満の子供に使われることが多い薬です。
  • ジクロフェナック、インドメタシン:これらのお薬は非ステロイド系の消炎鎮痛剤と呼ばれ、強力な解熱作用を持っています。量を間違えますとショック・腎不全などの副作用を起こしますので、慎重に使わなければいけません。原則として医師の指示がなければ使わない方が無難でしょう。
  • 兄弟が病院からもらった熱さまし:お兄ちゃんお姉ちゃんがもらった熱さましを下のお子さんに使うのは避けて下さい。体重がほとんど同じであれば問題ありませんが、病院で出す薬はその子にあわせて出していますので、適当に削って下の子に使ったというようなケースを時々みますが、そのような使い方はしないでください。量を間違えると急に熱が下がりすぎ、ショック状態になることがあります。

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    「副腎皮質入りの塗り薬ってこわいの?」

     確かに、副腎皮質入りの塗り薬には副作用がいろいろとあります。カビをはやしてしまったり、皮膚がカパカパになってしまったり、長期間使っていると全身的な副作用も起こってきます。しかし、最近のマスコミによる報道などでは、あまりにこの副作用のみが強調されすぎているような気がします。確かに副作用はありますが、きちんとした管理の元に使えば決してこわいものではありません。主治医の指示にしたがって、上手に使って上げるのがお母さんの役目かと思います。

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    「薬をどうしてもいやがるときはどうしたらいいの?」

  • これも時々経験する困った問題です。年齢によっても対応法は変わりますので、3歳以下と想定して書いてみます。また、なかなか飲んでくれないケースを中心にとりあげます。
  • まず水ぐすりでしたら、味見をしてみて下さい。通常はそのままか、少し水で薄めてあげますが、飲まない場合ジュースなどにまぜることをするかと思います。この場合、混ぜる物によってはとんでもない味に変わることがあります。ですから、まずはじめに味を確認してみましょう。次に、味に問題がない場合ですが、お子さんがジュース類を嫌いな場合、これはなかなか大変です。多くの水ぐすりは、ジュースの味にしようとしているからです。この場合は、粉薬(ドライシロップ)にしてもらうかスポイトで奥歯の付近で放す方法を試して下さい。スポイトを使っても舌の前の方で放しては意味がありません。べぇと出されてしまうでしょう。のどの方へ薬が流れていくような位置でそっと放してやることがコツです。うまくできたらほめてあげましょう。
  • 次に粉薬(ドライシロップを含む)ですが、単に水で溶くだけで飲んでくれる場合もあります。それでダメなときには、お薬を少量の水で団子状にします。それを上顎やほっぺにこすりつけて、水かジュースで流し込む、この方法でうまくいくはずです。
  • あとは、一般的な問題ですが、食後にこだわるとうまくいかないことがあります。おなかがいっぱいなのです。子供のお薬は食後にこだわることはありませんので、食事の前や食事と食事の間の時間に飲ませることも試してみてください。
  • この他の方法としては、1回分ずつシャーベット状に凍らせる、ヨーグルトに混ぜる、アイスクリームに混ぜるなどがあります。
  • 3歳以上になれば、きちんとお薬が必要な訳を説明し、納得できれば飲んでくれるはずです。ただし、水薬よりも粉薬のほうが好きというような場合は、主治医にお願いして、できるものなら希望に添った内容にしてあげるとうまくいくかと思います。
  • 単なるわがままと言えるようなケースも時にみられます。このような時には親子関係の問題もありますが、場合によってはスパルタ式の教育的指導が必要かもしれません。ただし、感情的にはならず、きちんとしたフォローをお忘れなく。

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