咳には、痰のからむ咳とからまない咳がありますが、どちらのタイプの咳かによって対処法が違いますので、違いを聞き分けられるよう普段から気をつけると役にたちます。また医療機関を受診する際は、咳の状態を良く説明できる方がついて行くことが大切です。(もどる)


咳のでる病気って:一口に咳といっても、その原因となる病気はたくさんあります。ふつうの風邪、急性上気道炎(咽頭炎・喉頭炎)、急性気管支炎、喘息性気管支炎、細気管支炎、肺炎、百日咳、気道異物とざっと上げただけでも、こんなにたくさんです。咳の仕方はどの病気かを診断する上で大切な情報で、熱はあるか・どんな音の咳か・いつから咳をしているか・痰がからむか・1日のうちで咳がひどい時間帯があるか・どんなことをすると咳が多くなるかなどがポイントになります。どの病気の場合でも、早い段階での手当が大切なことはいうまでもありません。熱には敏感なおかあさん方も咳への対応は比較的のんびりしている傾向がありますので、ひどくならないうちの対応に努めてください。

咳止めのくすり:病気の種類によっては咳止めの薬がむしろ逆効果のことがあります。痰が多い咳や喘息性気管支炎の場合などがその代表的なケースです。このような場合には咳止めを使うと痰がなかなか外へ出されず、一時的に良くなったように見えても薬がきれることには前よりもひどい咳になるというような場合が多く、むしろ咳止めを使わないで、去痰剤(痰の切れを良くする薬)や気道を広げる薬だけにした方が早く良くなることが少なくありません。市販薬の多くは咳を止める成分を含んでいますので、注意が必要です。また、病院からもらった薬でも、咳の種類や出方が大きく変わったような時には、薬が残っていてももう一度みてもらい、薬の成分を変えてもらった方が良い場合もあります。

咳で吐いてしまう:小さいうちは、せき込んで吐いてしまうことがよくあります。これは、吐き気があるのではなく、指をのどの奥にいれると「おぇ」っとなってしまうのと同じような仕組みでおこりますので、吐き気止めの効果はあまり期待できません。痰が切れないと吐きやすくなりますので、咳止めや去痰剤を上手に使って上げることが必要です。また、おなかがいっぱいになるほど吐きやすくなりますので、消化のよいものをいつもよりも少な目に、そのかわり回数を増やして上げるなどの配慮が大切になります。一般的に寝ると咳が出やすくなりますので、寝る前の食事には特に気をつけて上げましょう。

布団に入ると咳がひどい:これはよくある症状で、横になって寝つくときに咳が多くなるのは、起きている時と体の状態が変わりますので、痰が移動して咳が誘発される・気道の分泌液が多くなるため痰の量が増える・体が暖まると咳がでやすくなるなどがその原因と考えられます。これをすぐに良くするのはなかなか難しい問題です。咳が止まらず苦しそうなときは、体を起こして抱っこし、背中を軽く叩いたり、さすって上げるのが良いかと思います。

コンコン・ゼーゼーとケンケン:咳の音や呼吸の状態を表現する言葉にはいろいろなものがあります。「コンコン」これは乾いた咳の代表的な表現、「ゼーゼー」これは痰が絡んでいる時の代表的な表現で、息をはく時に聞かれるのが普通です。そして「ケンケン」ですが、声がかれて、犬が遠吠えするような咳の表現で、この咳は急性喉頭炎(クループ症候群)の時に見られる咳です。この場合夜間に呼吸困難の発作を起こすことがありますので注意が必要です。息を吸うときに、音を立てて苦しそうな呼吸になった場合(特に4歳以下で)には、朝まで待つと言うのは危険です。このような時には急いで救急指定病院を受診して下さい。

家庭で気をつけること:咳以外の症状がなければ、入浴はのどに適度の湿り気を与え、痰をさらさらにしてくれるなどの効果が期待できますので、入れて上げましょう。    


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