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改正された予防接種法:平成五年十二月、東京高裁から出された予防接種訴訟に関する判決を受けて、平成六年十月に予防接種に関する法律が改正されました。この改正の結果これまでは予防接種を受けさせることが「親の義務」だったのが、今度は「親の判断」で予防接種を受けることになりました。また、集団接種ではなく、いつも診てもらっているかかりつけ医による個別接種を基本とすることになりました。その方が、予防接種による副反応の頻度を少なくできるからです。問診票に基づいて、子供の体質やその日の体調を判断し、予防接種を受けても大丈夫かどうかを判断し、保護者の同意を得て実施することとなったわけです。ワクチンの改良などにより、予防接種の副反応が減ったとはいえ、わずかながらですが重篤な副反応がみられるケースもありますので、安易に考えず、予防接種のてびきをよく読み、問診票はよく注意して書いてください。予防接種はどこで受けても同じではありません。子供さんのことをよく知っているかかり つけ医で受けるのがベストです。その際 、専用の時間帯を設けているか、質問に親切に答えてくれるか、などを参考に、その先生が予防接種に熱心な先生かどうかを判断してください。また、お母さんが風邪などを診てもらうついでに受けることなどのないようにしたいものです。お母さんが風邪をひいてしまったようなときには、子供さんにもうつっているかもしれません。同様に兄弟が風邪をひいているような時には、慎重にしてください。
予防接種の種類予防接種には、不活化ワクチン(三種混合・二種混合・ジフテリア・破傷風・日本脳炎・インフルエンザ・B型肝炎)と生ワクチン(ポリオ・麻疹・風疹・BCG・おたふくかぜ・水痘)の2種類があります。

ワクチン相互の間隔不活化ワクチンでは1週間以上、生ワクチンでは4週間以上の間隔をあけないと次のワクチンを受けることはできません。「1週間目、4週間目ちょうどはどうか」という質問に対する答えは、定義通りに解釈すればダメということになります。特別な事情がないような場合は規定通りに受ける方が良いでしょう。

疾病罹患後の間隔予防接種のガイドラインに「麻疹・風疹・水痘およびおたふくかぜなどのウイルス性疾患にかかった場合は、全身状態の改善を待って接種する。通常、個体の免疫状態の回復を考え発病後1カ月以上の間隔をあけるが、軽症に経過する場合もあるので、一般状態を主治医が判断し、これから受けようとする予防接種の重要性を考慮し決定する」という記載がありますので、原則としては1カ月以上あけた方が良いのですが、急ぎたい理由がある場合は主治医と相談してください。この場合、かかりつけの先生でないと判断が難しいと思います。なお、突発性発疹、手足口病、ヘルパンギーナ、伝染性紅班などもウイルス性疾患です。


ポリオ(急性灰白髄炎)

 この予防接種は集団接種です。六週以上あけて二度受けますが、一回ずつ独立していますので、間隔は開いてしまっても問題ありません。日本ではこの病気ほとんどみられなくなりましたが、外国ではまだなくなっていませんので、きちんと受けておいてください。下痢をしているときは受けられません。この予防接種による発熱などの副反応はありません。

ツベルクリン反応・BCG

 生後三ヶ月目から受けられます。結核も減ったとはいえ、なくなったわけではありませんので早めに受けてください。ツベルクリン反応は、多少具合が悪くても受けられますが、抗アレルギー剤などを服用中は反応が抑えられる可能性がありますのでさけてください。ツベルクリン反応を判定する日に熱がでても、判定は受けておいてください。その日にBCGができなくても、判定を受けておけば2週間以内ならBCGを受けることができます。BCGは接種の仕方により陽転率に差がでますので、私も特に注意して行っています。接種後しばらくして膿をもったかさぶたができることがありますが、これはうまくいった証拠ですので、心配ありません。
三種混合ワクチン

 このワクチンは、ジフテリア・百日咳・破傷風の三種類のワクチンをまとめて受けるものです。生後三ヶ月から受けられます。間隔が開いてしまうと十分な効果が期待できませんのでこの予防接種は間隔が大切です。初回免疫は三週から八週間隔で三回受けます。二回目と三回目の間隔が六ヶ月すぎてしまうと、三回目は受けられなくなってしまいます。受ける価値がなく2なってしまうからです。同様に一期追加も、離れてしまうと十分な効果がなくなってしまいますので気をつけてください。離れすぎても、もう一度はじめからやり直すことはできませんので、気がついた時点でできるだけ速やかに受けてください。このワクチンは沈降ワクチンですので、接種部位に小さなしこりが1〜2ヶ月残りますが自然になくなりますので心配いりません。

はしか(麻疹)ワクチン

 麻疹は一歳になると受けられます。麻疹のワクチンも平成8年暮れにゼラチン抜きの副反応のより少ないものが開発されました。予防接種で一番怖いのは添加物のゼラチンによるアナフィラキシー様反応でした(反論もありますが、当院でもゼラチンによるショックを1例経験しています)ので、これで私はだいぶ気が楽になりました。麻疹は実際にかかると半分位は入院治療が必要となる比較的重い病気ですので、早めに受けておきたいものです。接種後七日以降に軽く麻疹の症状がでることがあります。風邪気味の時にうけると十分な効果が得られないことがありますので、気をつけてください。
風疹ワクチン

風疹は、子供がかかった場合、あまり重い疾患ではありませんので、あわてて受ける必要はありません。麻疹同様風邪気味の時には受けないでください。このワクチンもゼラチン抜きの製剤があります。受ける際確認してみるといいと思います。その先生が何のこと?と言うようでは、予防接種に熱心とはいえないかも・・・・

日本脳炎ワクチン

 三歳になると受けられます。このワクチンも三種混合ワクチン同様、間隔が大切です。間隔があきすぎた場合、十分な免疫を得るためにははじめからやり直さなければならないこともあります。一期初回は一週間間隔で二回、一期追加はその一年後に一回です。日本脳炎は夏に流行する疾患ですので、この予防接種はその前(六月まで)に受けておくことが大切です。このワクチンにもゼラチン抜きの製剤があります。

チェックポイントここが大切!

1)予防接種は37度以上の熱があると受けられないことがあります。午後の平熱は、朝よりも高く、37度前半の子供さんもおりますので、予防接種を受ける時間の体温を二〜三日測り、その時間帯の平熱を知っておいてください。

2)風邪のひきはじめは、特に接種をさけてください。逆に二〜三週前から鼻水だけというような場合は受けられることが多いので、接種が遅れているようなときはご相談ください。

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